2020年度においては,研究計画に従い,提案手法実装時のハードウェアコストの見積りを主目的として研究を進めるとともに,本研究の全体的な成果をまとめ,論文誌等への投稿を行った. 2020年度の研究的な成果としては,本研究で提案するパケット予測処理機構をASIC(Application Specific Integrated Circuit)と呼ばれる専用ハードウェアへ実装した際の,各コンポーネントや全体的な回路規模を見積もったことが挙げられる.なお,本研究実施においては,研究計画に記載したFPGA(Field Programmable Gate-Array)への実装ではなく,ASICへの実装を想定した.これは,コアルータ に用いられるハードウェアとしてFPGAよりもASICが一般的なためである.ASICをターゲットとしたハードウェア回路の見積もりが可能なSynopsys Design Compiler O-2018.06-SP4および45nm Free PDK OSU Libraryを用いて,Verilog-HDLにより提案機構を実装した結果,提案機構はPPC全体の1%程度のハードウェア量により実装できることが示された. 以上の研究内容と前年度までの研究成果を踏まえ,本研究実施により得られた全体的な研究成果を論文にまとめ,複数の論文誌へと投稿した.その結果,最終的な成果としてインパクトファクタ1.319の著名な国際論文誌であるInternational Journal of Communication Systemsを含む4本の論文誌採択に至った. 当初の研究計画に対して,本研究は想定以上の研究成果が得られたといえる.近年登場した多階層PPCへパケット予測処理機構を適用することで,単一のPPCよりも更に高い効果が得られることが明らかとなった.
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