研究課題/領域番号 |
18K18023
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
兼本 大輔 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (90603332)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳波 / 圧縮センシング / 独立成分分析 |
研究実績の概要 |
軽量な無線型脳波計測ヘッドギアを実現するには,搭載するバッテリーの小型化が有効な手段の一つになる.そこで研究代表者は,圧縮センシングを脳波計測に活用し,無線型脳波計測ヘッドギアに搭載するセンシングユニット回路部の消費電力を削減することで,軽量化の実現を目指している.ただし,外乱が混入しやすい環境下での圧縮センシングの利用は,信号のスパース性が低下するため,復元精度が悪化する問題がある.そこで本研究課題では,圧縮センシングと独立成分分析を組み合わせることで,外乱が混入する環境においても復元精度の悪化を抑えつつ,センシングユニットの低消費電力動作が可能になる新しい回路システムの検討を行っている.
一年目は,研究代表者が提案している圧縮センシングと独立成分分析を活用した脳波計測のための新しいシステムの検討・設計に関する研究を行った.本システムでは,センシングユニットのランダムアンダーサンプリングにより脳波を圧縮した状態で取得し,圧縮した信号をデータプロセッシングユニットへ転送する.さらに,データプロセッシングユニットにおいて,復元処理を行う前に独立成分分析を用いることで外乱の影響を抑え,復元精度の向上を実現する.MATLABによる検証の結果,復元信号の誤差を示すNMSE値の改善が見られ,本提案手法の有効性を示す事が出来た.得られた研究成果の一部は,IEEE国際会議BioCAS 2018や電気学会電子回路研究会にて公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の計画通り,提案する信号処理方法を搭載したシステムの設計・検討を進めることができた.提案システムを設計し,擬似的な瞬目アーチファクト(脳波計測時の代表的な外乱の一種)が加わった脳波信号に対して,圧縮・分離・復元の一連の信号処理をMATLAB上で検証した.その結果,復元前に独立成分分析を実施する本システムにおいて,瞬目アーチファクトの影響抑制に効果がある例を示すことができた.一年目の研究成果として,国際会議1件や国内研究会2件を通して公表できた.
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今後の研究の推進方策 |
一年目は,提案するシステムに適した復元方法の検討やランダムアンダーサンプリングを行うA/D変換器等の回路パラメータの解明を進めた.二年目は,当初の計画通り,一年目に実施したシステム設計や検証結果をもとに,ハードウエア実装に関する検討を進める予定である.
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