本研究では,まず,mROSと呼ぶ組込みデバイス向け軽量実行環境の研究開発を推し進めてきた.本研究成果は,中規模の組込みマイコンにおいて,ロボットシステムのための通信ミドルウェアのデファクトスタンダードであるROS(Robot Operating System)の通信機構を活用できる実行プラットフォーム技術である.当該年度では,独自定義のデータ型による効率的な出版購読型通信を実現するための,MessageTypeの自動生成手法およびデータ通信機構の確立に取り組んだ.加えて,他の組込み向けROSノード実行環境との比較評価を実施し,我々の提案手法の有効性を定量的に立証した.本研究成果は,情報処理学会の和文論文誌に採択され,出版された. 同時に,プロセッサおよびFPGAが密結合されたシステムアーキテクチャにおけるアプリケーションの高速化事例に取り組んだ.対象としてベイジアンネットワークの構造学習処理に着目し,FPGA上に構成される演算回路を繰り返し利用できるようにすることで,アプリケーションの高速化および電力効率の向上に寄与できることを明らかにした.本研究内容は,研究課題の題材になるモバイル型サービスロボットの品質向上に繋がることが期待される.
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