研究課題/領域番号 |
18K18025
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
新谷 道広 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80748913)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ニューラルネットワーク / メモリスタ / 機械学習 / 信頼性 |
研究実績の概要 |
本研究では,深層学習に代表される機械学習の性能を飛躍的に向上させる脳型機械学習ハードウェアに関する研究を行っている.特に,メモリスタを用いたニューラルネットワークの高信頼化に着目している.
今年度は,故障があった場合にメモリスタニューラルネットワークの性能に与える影響について調査した.メモリスタは,書き込み動作寿命がSRAMやDRAMと比べて著しく小さく,この書き込み限界を超えると,高抵抗状態あるいは低抵抗状態に固定される縮退故障を生じる.低抵抗状態は,ニューラルネットワークの重みがゼロになることを示している.一般的に,ニューラルネットワークは冗長に設計されているため,学習収束時のネットワークの重みがゼロになるニューロンが多く存在する.すなわち,低抵抗状態に縮退したとしても何らニューラルネットワークの性能に影響を与えないことを見出した.そこで,スパース学習モデルを用いて学習の早期に重みがゼロとなるシナプスを推定する手法を開発した.ゼロとなる箇所が予め推定できれば,学習を行う必要がなく,不要な書き込み回数を削減でき,長寿命化につながる.
また,メモリスタはメモリ素子としても使用されることから,メモリスタの信頼性に関する調査中に得た知見を生かして,メモリスタストレージシステムにおける誤り訂正回路を提案した.メモリスタストレージシステムの誤り訂正回路は従来より多く提案されているが,提案手法は誤り訂正回路自体もメモリスタで構成しているため,面積オーバーヘッドを大きく削減できる.さらに,本研究で得た機械学習の学習アルゴリズムに関する知見を活かして,集積回路の見逃し故障を効率的に検出するシステム,リサイクルFPGAを検出する手法を提案し,研究成果を挙げている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画どおりである.初年度で計画していた,ニューラルネットワーク性能に影響を与える箇所の推定を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,計画どおりメモリスタニューラルネットワーク回路の性能補償回路について検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度,国際会議への発表を計画していたが、不採録となり参加できなくなったため。この分の旅費が浮いた。この費用は回路試作等に充て、採録確度を上げるよう努める。
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