研究課題/領域番号 |
18K18029
|
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中村 純哉 豊橋技術科学大学, 情報メディア基盤センター, 准教授 (60739746)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | BFTレプリケーション / 耐ビザンチン故障 / BFT / パブリッククラウド / ビザンチン合意 / 地理的分散BFTレプリケーション / 耐故障 / 広域レプリケーション |
研究実績の概要 |
本研究課題では,パブリッククラウド上に構築される地理的分散BFTレプリケーションにおいて,レプリケーションを構成するレプリカの位置(リージョン)を動的に再配置することにより,効率的なレプリケーションを実現する手法の開発を目的とする.
地理的分散BFTレプリケーションにおけるレプリカ位置の動的な再配置では,レプリカが持つサービス状態の転送処理が必要になる.状態転送処理中はレプリケーションにおけるリクエスト処理性能が低下することから,転送処理にかかる時間を短縮することは,レプリケーション全体の効率を高めることに繋がる.地理的分散BFTレプリケーションでは,レプリカ間の通信帯域が大きく異なる.そのため,既存研究にて提案された状態転送手法をそのまま使っても効率のよい状態転送はできない.2020年度はこの点に着目し,地理的分散BFTレプリケーションに適した新しい状態転送手法を考案した.性能評価を代表的なパブリッククラウドであるAmazon Web Servicesで実施し,既存手法よりも短時間で状態転送を完了できることを示した.本成果は,マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2020で発表した.
また評価実験では,レプリカ間の通信帯域が転送中に大きく変動することが原因で,利用可能な通信帯域を活用することができないケースがあることが分かった.このようなケースでは状態転送時間が長くなってしまい,レプリケーションの効率が低下する.この問題を解決するため,通信帯域を推定し,各レプリカが転送する部分状態のサイズを動的に変更する手法を検討中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では2020年度中にレプリカの動的な再配置アルゴリズムを完成させ,本研究課題を完了する予定だった.しかしながらコロナ禍の影響により,想定したエフォートを本研究課題に割くことができず,当初計画していたスケジュールに基づいて研究を進めることができなかった.そのため,レプリカの動的な再配置アルゴリズムには至っていない.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の研究期間を1年間延長することで,当初の研究目的を達成できるよう目指す.2021年度前半には,現在進めている地理的分散BFTレプリケーションに適した状態転送手法の成果をまとめ,学会発表する.2021年度後半には,これまで本研究課題を通じて得られた研究成果を活用し,地理的分散BFTレプリケーションにおけるレプリカの動的な再配置アルゴリズムの完成を目指す.レプリカの動的な再配置に必要となる構成要素はおおよそできあがっている.それらを組合せて一連のアルゴリズムとして設計し,再配置にかかる時間や,リクエスト処理性能に与える影響を評価する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
【理由】 事前に想定できなかった次の理由によって,研究費の使用計画を変更したため.(1) コロナ禍の影響により,研究が想定どおりのペースで進まなかったこと.(2) 想定よりも少ないパブリッククラウド利用料で評価実験を行えたこと. 【使用計画】 研究費残高については,当初想定していた使途で2021年度に使用する.
|