ネットワークのインフラ化により、Webサービスを対象としたサイバー攻撃が急増している。その一方で、Webサービスの形態の多様化とともに、Web攻撃も多様化しており、申請者は、ネットワークの大規模化、多様化したWeb攻撃への対策のため、環境の変化や未知の状況に対しても柔軟に対応可能なヒトの脳の意思決定、学習の仕組みを応用することを検討している。 令和1年度において、申請者は、ヒトのグループでの集団的行動選択においてみられるflexible leadershipの概念をネットワーク制御へと応用した。ヒトのグループにおいては、おのおのの意思決定者が、自身の有する情報に対する信頼度に基づいて、自身の役割を柔軟(flexible)に変更する。つまり、情報の信頼度の高い意思決定者(リーダー)が、情報の信頼度の低い意思決定者(フォロワー)を牽引し、グループ全体として、適切な行動選択が達成される。申請者は、WSNにおけるチャネル選択を題材として、適切なチャネルの選択が実現できることを示した。 また、申請者は、移動ロボットを対象都市、QoSに基づいた強化学習を利用した、無線通信を妨害するジャミングにロバストな移動制御手法を提案した。従来のジャミング攻撃対策においては、スペクトラム拡散技術が利用されてきたが、移動ロボットの台頭により、移動によるジャミング攻撃の回避が可能となった。システムの実運用を行う上では、ユーザの要件を満たし、アプリケーションレベルでの性能を考慮することが重要となる。シミュレーションを通して、提案手法を用いることにより、ジャミングを回避しつつ、短い経路を移動するよう移動ロボットの制御が行えることを示した。 さらに、申請者は、セキュアな分散台帳管理技術であるブロックチェーンを対象として、マイナーの配置が報酬に与える影響を調査するとともに、形式手法を用いてモデル化を行った。
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