研究課題/領域番号 |
18K18047
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
菅原 健 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (60785236)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 情報セキュリティ / ハードウェア / レーザー / センサ |
研究実績の概要 |
・大きく分けて2つのテーマについて研究を行った.1つはレーザー照射によりマイクに対して音声信号を挿入する攻撃である.もう1つはレーザー照射を検出するセンサの安全性評価である.
・スマートフォンやスマートスピーカーで使われる小型マイクにレーザーを照射することで,実際には無音であるにも関わらず,あたかも音声を受信したかのような電気信号を発生させることができる現象を発見した.そこで,本課題を基課題とする国際共同研究強化(A)(課題番号18KK0312)の枠組みで,ミシガン大学・Kevin Fu 准教授らと共同で,その現象がスマートスピーカーの安全性に与える影響を研究した.本研究の結果を,スマートスピーカーのメーカーなどの関係各所に対して脆弱性開示するとともに,攻撃の理解と対策について協力を行った.各社・各機関と定めた情報開示期限が切れる 2019年・11月のタイミングで,成果をまとめた技術レポートと解説動画を公開した.これは大きな反響を呼び,New York Times, CNN, および Washington Post などの一流メディアで報道された.技術的詳細をまとめた学術論文は現在投稿中である.
・オンチップでレーザー照射を検出するセンサの安全性評価を行い,攻撃者は「センサがどのように反応するか」を見ることで1ビットの漏洩情報を取得できることを明らかにするとともに,その漏洩情報が暗号のセキュリティに与える影響について研究し,成果を発表した (IET Electroncs Letters, Elsevier Microelectronics Journal).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・昨年度までに構築したテストベッドで複数のセンサへのレーザー照射実験を行い,特に,スマートフォンやスマートスピーカーで使われる小型マイク(MEMSマイク)において,実際には無音であるにも関わらず,あたかも音声を受信したかのような電気信号を発生させるという現象が生じることを新たに発見した.上記の現象の基礎的な情報(信号の再現度や周波数特性)を調査するとともに,この現象がスマートスピーカーのセキュリティに与える影響を国際共同研究強化(A)の枠組で研究した. ・スマートスピーカーへの攻撃は,センサへの誤情報挿入が実システムへのセキュリティの問題となることの最初の例の1つである.それが,報道や脆弱性開示を通して社会に広く周知されたことには大きな社会的意義がある.加えて,上記の攻撃は,物理量変換(光から音声信号)を利用して誤情報を挿入する初めての例である.「意図しない物理量変換が脅威になりうる」ことは,さらに新しい攻撃や,攻撃を耐性を持つ新センサにつながる可能性があり,大きな学術的意義がある. ・以上に加えて,レーザー照射を検出するためのセンシング対策法の安全性評価を行い,副作用として生じる情報漏えいを明らかにするとともに,理論的なモデル化を行った.
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今後の研究の推進方策 |
まず,レーザー照射によりマイクに電気信号が誘導される現象について,対策法へのフィードバックのために,そのメカニズムを解明するための実験を行う.加えて,マイク以外のセンサへのレーザー照射について引き続き評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画どおり執行したが,端数として68,688円が残額として生じた.これらは,次年度に物品費として使用する予定である.
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