研究実績の概要 |
最終年度は,まず,研究プロジェクト全体の研究成果の収穫を行った.特に,レーザー照射によりマイクに対して音声信号を挿入できる現象を利用して,遠隔からスマートスピーカーにコマンドを挿入できる脆弱性を発見した成果により,セキュリティ分野のトップカンファレンスである USENIX Security に採録された (雑誌論文[1],採録率 16.1%).この成果は高い評価を得ており,その後,複数の学会・学会研究会において招待講演を行った(学会発表[2, 3, 4]).また,2021 年度にも招待講演が予定されている.加えて,周知のために,国内学会での講演も行った(学会発表[1]).
また,当初の計画の通り,上記の攻撃に対する対策法の構築に関する研究を行った.特に,システム全体としての安全性を高めるには,(i) インタラクティブな話者認証,(ii) センサフュージョン,および (iii) 物理的遮蔽などの対策が効果的であることは,上記論文に記載してすでに公表済みである.一方,根本的な解決には,レーザー照射により音声信号が挿入できる物理メカニズムの解明が必要であるとの知見に至り,メカニズム解明のための実験を行った.特に,マイクの一部を樹脂でブロックする実験方法により,半導体チップにおける光電効果と,振動板における光音響効果の2つが主要因であることを特定した.特に,光音響効果については,そのさらに詳細なメカニズムや対策法への応用を,次年度より基盤(C)の枠組みで継続して研究する予定である.
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