研究課題/領域番号 |
18K18049
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
矢内 直人 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (30737896)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 暗号技術 / 高機能暗号 / IoT / 鍵更新 / セキュリティ設計 |
研究実績の概要 |
本研究計画は暗号技術内に動的な制御機構を直に埋め込む高機能暗号において、鍵更新機能の提供並びにそのIoTプラットフォームでの実装実験を行うことを目的としている。
2018年度の研究成果としては、組み込み機器など小型の機器に利用ができるような暗号技術として、集約署名と呼ばれる署名同士を合体させることでデータ圧縮ができる方式について検討した。とくにルータなどのネットワーク機器に対し利用が期待できる構成を示している。これは予備的検討において調査していた鍵更新方式が直接応用できるような形で構成することで、当初の目的である鍵更新機能を持つ高機能な暗号技術の設計に、間接的に貢献している。また、その関連方式の応用実装としてネットワークシミュレータ上でセンサデバイスやネットワークルータを対象とした実装実験を行うことで、実際の性能についても示している。これらの成果については、国内研究会3件、国際会議2件として発表している。
上述した成果については、計画当初に想定していた関数型暗号と呼ばれる理論的に最も一般化された暗号技術の鍵更新機能の導入までには至っていない。これは集約署名と呼ばれる一部の要素技術のみで検討しているためである。その一方で、様々なプラットフォームで実装実験を既に手掛けていること、また、それらの成果が国内外の学会から高く評価されていることは事実である。このため、当初の計画と比較して、総合的に高い進捗を挙げているといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初主な想定としていた関数型暗号そのものについては未着手であるが、既に鍵更新機能を持つような高機能な暗号技術について理論的検討及びシミュレータを通じた実装実験も部分的に手掛けている。このため、総合的に鑑みて順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
IoT など分散システムに向けた技術としてブロックチェーンの利用が注目されている。暗号技術においてもブロックチェーンを要素技術とすることで従来の限界を超えた暗号技術の設計ができることが知られている。一方で、ブロックチェーン自体も鍵更新機能を持っておらず、このあたりが非自明な点といえる。今後はブロックチェーンを要素技術とした高機能暗号並びにその鍵更新機能の実現について取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存プロジェクトにおける既存設備機器の利用により、物品費用が大きく節約できたことが影響している。これらの額面は海外出張に伴う学会参加費及び通信費用などにより大きく相殺されているが、差額となった2573円が次年度に持ち越されている。
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