IoT機器などの普及によりセンサを用いた計測の重要性が高まっている.一方で悪意のある攻撃者が意図的な妨害信号を外部から注入することによるセンサの誤動作が計測セキュリティとして指摘されつつある。距離計、ジャイロなどの様々なセンサに対して攻撃手法が提案される一方で、対策手法については複数のセンサを組み合わせるなどの消極的な手法にとどまっている。本研究では、自律制御システムで外界の情報を取得するセンサデバイスの取得過程におけるセキュリティに関して、センサへの入出力となるアナログ信号に着目し、攻撃可能性の評価、および対策技術の検討を行った。攻撃可能性の評価のために実センサを用いた攻撃再現環境を構築した。環境構築の過程において電磁波を通じたセンサの測定タイミングの可能性を発見し、構築システムにて攻撃可能性の検討を行った。電磁波を通じた攻撃では、センサからの測定信号を直接取得する攻撃に対して、信号を取得可能な範囲が広がる可能性がある。また、電磁波により測定タイミングが漏えいするメカニズムが異なることから、機器内部のケーブルの接触不良により漏えいが増大する可能性を指摘した。攻撃に対する対策技術としてデジタル信号変調がアナログ信号に変換される過程での非線形性を利用することを提案した。これにより、攻撃者が外部でアナログ信号へと変換された測定信号を取得したとしても元のデジタル信号の再現が困難になる可能性を示した。
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