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2018 年度 実施状況報告書

超並列計算環境における大規模グラフの実時間問合せ処理

研究課題

研究課題/領域番号 18K18057
研究機関筑波大学

研究代表者

塩川 浩昭  筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (90775248)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードデータベース / グラフ / アルゴリズム
研究実績の概要

本研究課題の目的は実世界の大規模グラフデータに対する超並列処理環境での効率的な問合せ処理手法を開発することである.本研究期間を通じて,実世界のグラフデータが持つ構造特性と並列処理アーキテクチャの両面を考慮することで,グラフデータに対する効果的な並列処理プリミティブを開発し,これらのプリミティブを用いた高速なグラフ問合せ処理手法を構築する.特に本研究期間では申請時の研究計画に従い,大規模グラフの高速な問合せ処理手法構築に向けて(1) グラフ分割に伴う同期処理オーバヘッドの抑制手法,(2) データアクセスの局所性向上によるメモリバンド幅ボトルネックの解消,および,(3) SIMD 命令を用いた効率的なデータ探索・データ処理手法の開発を進めた.
加えて,本研究期間では上記の並列処理プリミティブを用いた効率的なグラフコミュニティ問合せ処理手法を提案し,数億ノード規模のデータにおいて先行研究と比較して500倍から1,000倍程度の高速化を達成した.上述のコミュニティ問合せ処理手法はスレッド数に対してほぼ線形に性能向上することを実験的に確認している.また,本年度提案したコミュニティ問合せ処理手法は既存手法と同一の問合せ処理結果を出力することを理論的に保証している.
さらに本年度は次年度以降に取り組む予定の計画を先行し,多様なグラフデータに対する問合せ処理手法の高速化についても着手した.具体的には,不確実性を持つグラフデータを対象とした問合せ処理ならびに属性をもつグラフデータを対象としたコミュニティ問合せについて検討を進め,上述の並列処理プリミティブに基づく手法の構築を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

申請時の計画以上に進捗している.本年度は研究計画に従い,実世界のグラフデータに対するプリミティブな操作の並列計算環境に対する最適化手法を開発した.本年度はさらに研究計画を先取りし,これらのプリミティブな操作を組み合わせた効率的な並列コミュニティ問合せ処理手法の開発についても行った.現在は,上述の研究結果から得た成果を基に様々なグラフ問合せ処理に対する応用を多角的に検討している.ゆえに,計画以上に進捗していると考える.

今後の研究の推進方策

今後についても申請時の計画に従い研究を遂行する.今年度はグラフデータに対するプリミティブな操作の並列処理環境への最適化とコミュニティ問合せへの応用による有効性の検証を行い,その効果を実験的に確認することができた.次年度は,上述したコミュニティ問合せ処理手法の改良に加え,今年度獲得した知見を基に,さらに幅広いグラフ問合せ処理への応用手法の開発を進めていく計画である.具体的には不確実性の有るグラフにおける問合せ処理への手法や属性を持つグラフへの応用手法について研究を進めていく予定である.また,本研究において開発したソフトウェアのライブラリ化についても併せて進める計画である.

次年度使用額が生じた理由

今年度想定していた計算用ワークステーションの購入を見送り、筑波大学の学祭共同利用の制度を利用して大規模計算を行う事にしたため次年度使用額が生じた。
次年度は今年度得られた成果をまとめ国際会議への参加・発表を複数回行う。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件)

  • [雑誌論文] 効率的なグラフ分析のための実行時並列リオーダリング2019

    • 著者名/発表者名
      新井 淳也、塩川 浩昭、山室 健、鬼塚 真、岩村 相哲
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌D 情報・システム

      巻: J102-D ページ: 302~312

    • DOI

      10.14923/transinfj.2018DEP0010

    • 査読あり
  • [学会発表] グラフの構造情報を用いたObjectRankの高速化2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤 朋紀, 塩川 浩昭, 北川 博之
    • 学会等名
      第11回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム
  • [学会発表] メッセージ集約に基づくAffinity Propagationの高速化2019

    • 著者名/発表者名
      松下 朋弘, 塩川 浩昭, 北川 博之
    • 学会等名
      第11回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム
  • [学会発表] クラスタの収束性を用いた逐次的枝刈りによるRankClusの高速化2019

    • 著者名/発表者名
      山崎 耕太郎, 塩川 浩昭, 北川 博之
    • 学会等名
      第11回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム
  • [学会発表] 属性付きグラフに対するビームサーチを用いたコミュニティ検索2019

    • 著者名/発表者名
      真次 彰平, 塩川 浩昭, 北川 博之
    • 学会等名
      第11回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム
  • [学会発表] 属性付きグラフに対する効率的なコミュニティ問合せ処理2019

    • 著者名/発表者名
      真次 彰平, 塩川 浩昭, 北川 博之
    • 学会等名
      情報処理学会 第81回全国大会
  • [学会発表] Graph Clustering via Cohesiveness-aware Vector Partitioning2018

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Shiokawa, Yasunori Futamura
    • 学会等名
      the 20th International Conference on Information Integration and Web-based Applications and Services
    • 国際学会
  • [学会発表] C-AP: Cell-based Algorithm for Efficient Affinity Propagation2018

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Matsushita, Hiroaki Shiokawa, Hiroyuki Kitagawa
    • 学会等名
      the 20th International Conference on Information Integration and Web-based Applications and Services
    • 国際学会
  • [学会発表] Fast Algorithm for Integrating Clustering with Ranking on Heterogeneous Graphs2018

    • 著者名/発表者名
      Kotaro Yamazaki, Tomoki Sato, Hiroaki Shiokawa, Hiroyuki Kitagawa
    • 学会等名
      the 20th International Conference on Information Integration and Web-based Applications and Services
    • 国際学会
  • [学会発表] ScaleSCAN: Scalable Density-based Graph Clustering2018

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Shiokawa, Tomokatsu Takahashi, Hiroyuki Kitagawa
    • 学会等名
      the 29th International Conference on Database and Expert Systems Applications
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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