研究実績の概要 |
本年度は,自律移動が可能なパーソナルモビリティの開発に向けて下記の項目に取り組んだ. (a) 見えに基づく自己位置推定とナビゲーション:簡素で頑健な自己位置推定およびナビゲーション手法の実現のため,画像系列を用いた新たなView-based navigation手法を開発した.画像比較に基づく自己位置推定では季節や天候による見えの変化が大きな問題となるが,大域特徴量であるHOGによる特徴記述やDP Matchingによる系列対応付け,マルコフ位置推定等を利用することで,見えの変化に頑健で高精度な位置推定を実現した.また,全方位画像に対する学習画像の走査を導入することで,全方位カメラのみでのナビゲーションシステムを開発した.
(b) 対象人物への付き添い移動のためのポジショニング:対象人物への適応的な付き添い行動の生成手法を開発した.まず,対象人物の位置姿勢に基づいて状態をwalking, standing, sitting, talkingの4状態に分類し,各状態に対して深層強化学習を用いて事前に訓練された位置取りを行う.深層強化学習学習には,人物情報付き距離変換局所地図を用いることで効果的な学習を実現し,シミュレーションおよび実環境における実験を介し,提案手法の有効性を示した.
(c) 自己位置同定・地図生成のための単眼SLAM:未知環境における自律移動のため,単眼カメラを用いたVisual SLAM手法を開発した.従来の画像特徴量を利用した特徴点対応を求める方法とは異なり,まず連続する入力画像間の大まかなオプティカルフローを求め,そのフローを初期値とする画像間の極値の対応付けを行うことで,対応点計算の低コスト化および対応点数の向上を図った.また,軽量なBundle adjustment手法を新たに提案し,上記の対応点計算と組み合わせることで,非常に密な3次元復元を実現した.
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