本年度は下記の項目に取り組んだ. (a) 単眼カメラの6自由度位置推定と評価・応用: 昨年度に引き続き,3次元地図に対する単眼カメラの位置同定の実装・評価を進めた.正規化相互情報量に基づく位置推定とKeyframeベースの局所トラッキングの組み合わせからなる提案手法C*(シースター)は,従来のPhotometricな位置推定手法と比べ高いロバスト性を有している.本年はシミュレーションや実環境で多様な見えの変化を含むデータセットを作成し,照明条件・センサ特性・移動体等に起因する見えの変化に対して非常に頑健に動作することを確認した.また,ウェアラブルな位置推定システムへの拡張性も確認している. (b) パーソナルモビリティのための人検知・経路生成: 市街地等におけるパーソナルモビリティの自律移動のための人検知システムを構築した.道路シーンにおける物体認識研究は盛んに行われているが,電動車椅子の走行環境のような比較的近距離における安定的な人検知は未成熟であった.本年は,シミュレータを利用したパーソナルモビリティのためのデータセット生成,および多様なレーザスキャナで安定して動作する人検知アルゴリズムを開発した.更に,検知された周囲人物の位置・速度を考慮したSocial force modelに基づき,人混みにおいても他者へ威圧感を与えないような移動経路生成を可能とした. (c) 高精度地図生成: 自己位置推定やナビゲーションで必要となる3次元地図の高精度化を図るため,レーザスキャナを用いたSLAM,および人手による不正箇所の能動的な修正が可能なシステムを構築した.幾何的な繰り返しの多い箇所では,state-of-the-artな手法においてもスキャンの位置合わせに失敗するケースが散見されるが,人手により少数のヒント(pose graphの拘束条件)を与えることで大域的な修正が可能となる.
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