研究課題/領域番号 |
18K18073
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
松岡 諒 香川大学, 創造工学部, 助教 (40780391)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高ダイナミックレンジ画像 / スパースコーディング / 凸最適化 / 画像復元 |
研究実績の概要 |
「動的モード分解法(DMD 法) とスパースコーディングに基づき高効率で実用的な画像統合型HDRカメラ技術」とその応用の検討を行った。本年度は、フレーム毎に露光時間を変えて撮影した多重露光動画像からHDR動画像を生成するためにスパースコーディング及び凸最適化に基づく拡張DMD法の定式化を進め、実際に撮影した車載カメラ映像に適用し、その有効性を確認した。また、提案するスパースコーディング技術をスパースFIRフィルタ設計に応用し、既存手法を上回る高性能でよりスパースなフィルタの設計を実現した。平行して、車載カメラ撮影で問題となるガラス越しの撮影で生じる映り込みの除去や、HDR画像を低ダイナミックレンジディスプレイで表示するためのローカルトーンマッピングによる擬似エッジやハローアーティファクトの除去手法の開発を進めた。前者では、真の背景と映り込みの曖昧さを軽減するためにRGB画像に加えて距離情報(デプスマップ:D)を補足情報としたRGB-D画像を用いた新たな映り込み除去手法を提案した。後者では、画像平滑化の際に用いる「勾配の数と入力画像との類似度に基づく最小化問題」に入力画像に基づく新たな勾配制約を導入し、アーティファクトにロバストな勾配制約付き画像平滑化手法を提案した。さらに、夜間やトンネルなどの暗所撮影で問題となる高感度ノイズによる画質劣化を改善するために、混合ノイズにロバストな多重露光画像統合手法を提案した。本手法では、ランダムノイズに加えインパルスノイズを同時に除去することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、設計フェーズ(平成30年度)「多重露光動画像のための拡張DMD法」のアルゴリズム開発に関しておおむね計画通りに進捗している。また、関連する成果に関しては、回路とシステムに関するトップカンファレンスであるIEEE ISCAS2018や同分野の難関国際学術論文誌であるIEEE Transactions on Circuits and Systems I: Regular Papersに掲載済みである。また、画像復元への応用に関する成果は、画像処理分野最大の国際会議であるIEEE ICIP2018に二件掲載済みである。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に定式化した拡張DMD法を多様なシーン(朝、昼、夜、市街、市内、晴天、曇天、雨天) に適用し、その復元精度を同時に撮影したHDR 動画像と定性的/定量的に比較・評価することで、本手法の有効性を解析する。また、関連する既存手法との比較実験、及び高速化のための効率的な再構成アルゴリズムの検討を行い、提案技術の有効性と性能限界について明らかにする。
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