研究課題/領域番号 |
18K18074
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
内海 ゆづ子 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80613489)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 植物形態計測 / 深層学習 / 3次元点群 |
研究実績の概要 |
本年度は,前年度までに提案し,評価を行った単子葉植物の枝分かれである分げつ数を1枚の画像から深層学習を用いて推定する手法の論文執筆を行った. また,遮蔽領域が大量にある植物の計測手法の提案と評価を行った.植物は生育するにつれ,葉同士が重なるなど,遮蔽が大量に発生する.従来の植物計測では,オクルージョンがない,生育初期段階の計測手法が提案されている.そのため,生育が進んだ遮蔽を大量に含む植物の形質計測は困難である.そこで,本研究では生育が進んだ植物の葉の形質計測のために,3次元点群データを用いた植物器官のセグメンテーション手法を提案した.この手法では,ToF カメラを用いて植物の3次元形状を点群データとして24方向から計測する.計測したデータにはノイズが含まれ,ノイズがこれ以降の処理に悪影響を及ぼす.そのため,深層学習ベースのノイズ除去手法を適用する.そして,Iterative Closest Point (ICP)を適用して統合を行った後,クラスタリングを用いてそのデータから植物の葉の数や形状などの形質データの抽出をする.実験では,造花を計測し,提案手法の有効性を評価した.実験の結果,提案手法は葉の形状を保存したままノイズを取り除けることがわかった.一方で,多視点データの精度が低く,そのため,葉のセグメンテーションに失敗しており,詳細な葉の形質データを抽出することが困難であった.今後は,位置合わせの精度向上の改善のため,画像特徴量を利用することを計画している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文の執筆に関しては,新型コロナウイルス感染拡大の影響による講義形態の変更や,子供の休園・休校により論文執筆ができない時期が何度か発生し,執筆は完了したものの,論文誌への投稿には至らなかった. 3次元点群データを用いた植物器官のセグメンテーション手法の開発では,計測データのノイズが予想以上に多かった.そのため,ノイズ除去の手法を選定する必要があったことから,手法全体の実装が遅れた.また,ノイズの影響によりICP の精度も当初予測していたものよりも低く,統合した点群データに葉のセグメンテーション手法の適用がすぐにできなかったことから,手法の改善に迫られ,手法全体の評価が遅れた.
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今後の研究の推進方策 |
単子葉植物の枝分かれである分げつ数を1枚の画像から深層学習を用いて推定する手法の論文を投稿し,採録を目指す.また,3次元点群データを用いた植物器官のセグメンテーション手法については,位置合わせの精度の向上のため,画像の特徴量を用いたり,最新の3次元点群の位置合わせ手法を適用する.位置合わせの精度が向上した後,クラスタリングにより個々の葉の3次元形状を復元し,葉の法線方向や枝からの出葉の規則性などを抽出することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の採録が2021年度中に間に合わなかったため,2022年度に採録された際の論文掲載料として利用する.また,3次元点群データを用いた植物器官のセグメンテーション手法が完成した後,成果発表のための旅費,学会参加費として利用する.
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