研究課題/領域番号 |
18K18080
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
神納 貴生 大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (10636070)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 照明推定 / 照明光分離 / カラーライン / color line / 領域抽出 / X線画像 / ノイズ低減 / 可視化 |
研究実績の概要 |
令和2年度は,照明色推定用のデータセットを作成した.作成したデータセットを利用し,主に三つのアプローチで照明色推定および照明光分離を検討した.一つ目は,カラーラインをベースとした学習を用いた照明色推定であり,FCNとSVRを組み合わせた手法(CLSVR)と特両々をサンプリング後にCNNにかけた手法(CLCNN)の二つを検討した.結果として,CLCNNの精度が従来手法を上回る結果となった.作成したデータセットにも適用し,次年度に論文化する.二つ目は,カラーラインを用いた照明色推定により得られた結果から,さらにカラーラインを用いて局所領域ごとの被照明色を推定する,被照明色マップの推定である.この被照明色マップは,照明光分離の重要な補助情報となる.三つ目は,単一画像からの奥行き推定を用いて奥行き情報に基づく照明光分離の実現を検討した.これに関してはまだ十分な成果が得られていないため,引き続き手法を入れ替えるなどして精度を高めたい.学習を用いないこれらの方法についても,次年度に精度を算出して成果をまとめたい. また,工業製品の保守点検のために,X線画像のノイズを抑えて必要な特徴を可視化する技術についても開発をさらに進めた.X線画像内の周波数成分に着目し,ノイズと構造を分離し,構造を構成する成分のみを強調することでノイズを抑えた可視化を実現した.その成果をまとめたものを,国際会議にて報告した.更に,細かい調整を可能にし,ノイズなどの各成分に適した除去ができるように改善する. また,これとは別にノンローカルミーンのように近傍ではなく構造情報で束ね,ノイズ除去するアプローチについても検討を進める.ただし,ノンローカルミーンなどは,必要な異常情報まで消してしまうことに十分留意する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の遅れ分,遅れている.しかし,令和2年度に照明色推定用のデータセットは完成した.データセットに対して提案手法を適用し,成果をまとめている.期間的に間に合えば,照明光分離に関するデータセットやそれに対する提案手法の適用結果までをまとめたい.
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今後の研究の推進方策 |
完成した照明色推定用のデータセットを利用し,複数色の有彩色照明下における照明色推定精度を算出し,成果をまとめる.さらに,照明光分離のためのデータセットを作成し,照明光分離としての精度算出も行う.次年度は,深層学習用の高性能PCを購入し,作成したデータセットに対して学習し,結果をまとめる.また,それに伴い学会発表および論文化を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては,計画が遅れていたこと,また購入予定の高性能PCに必須であるGPUの品薄および高騰が続いていたため,型落ちのPCを利用してだましだまし実験していたことの二つである.現在は,GPUのマイニング性能が絞られるなどの対策が取られ,比較的安定して来ている. 学習による精度を算出し,適切なパラメータで成果を出すために,予算150万円で高性能なPCを早期に購入する.残りの約32万円は,追加で作成するデータセット撮影用の機材の購入に利用する.
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