研究課題/領域番号 |
18K18093
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
玉田 靖明 北九州市立大学, 国際環境工学部, 講師 (90803875)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 立体視力 / 個人差 / スマートフォン / リモート心理物理実験 |
研究実績の概要 |
2020年11月,映像情報メディア学会ヒューマンインフォメーション(HI)研究会/日本バーチャルリアリティ学会 VR心理学研究会共催研究会(オンライン開催)において口頭発表を行った(題目:『両眼網膜像差が自然画像における大きな奥行きの知覚におよぼす効果』,著者:佐藤雅之,利光信太郎,村上義明,玉田靖明).ここでは,本科学研究費助成事業において購入したオートレフメータを用いて,被験者の屈折度数と瞳孔間距離の測定を行い,自然画像における奥行きの知覚との相関関係を調べた. 2021年1月,Perception誌に論文が掲載された(題目; Hot Wind to the Body Can Facilitate Vection Only When Participants Walk Through a Fire Corridor Virtually,著者: Ryotaro Yahata, Wataru Takeya, Takeharu Seno, and Yasuaki Tamada).この研究は,自己運動感覚に関する研究であるが,被験者の基礎的データを得るために,本科学研究費助成事業において購入したオートレフメータを用いた.また,本科学研究費助成事業の中でOculusRiftというヘッドマウントディスプレイを用いた両眼立体実験の実験環境の開発を試みた.そこで得たノウハウが実験プログラムの開発に活かされている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの流行により,対面での実験が困難な時期もあり,当初想定していた立体視力のデータは得られていない.その代わり,オンライン環境で行える運動視の実験環境を整え,50名程度のデータを得た.また,アナグリフ方式と併せて,スマートフォンを用いたサイドバイサイド方式の立体視実験環境を整えた. Processingという開発環境で運動弁別閾を測るプログラムを作成した.被験者はいずれもプログラムに精通しているということもあり,各自のPCにProcessingのインストールをインストールすることができた.被験者は,プログラムを実行する際に,使用するディスプレイのサイズと観察距離を手入力した.実験終了後,実験データがcsvファイルとして出力され,それを提出させることで実験が完了した.この方法は,赤青メガネを配布する機会さえあれば,運動視の実験だけでなく,両眼立体視の実験を行うことも可能である. 以前にアナグリフ方式の両眼立体視の実験で,「赤青の視標が見づらい」と報告する被験者がいた.こうした被験者の中には二色覚者もいた.つまり,アナグリフ方式での両眼立体視の個人差が,色覚の個人差に由来する可能がある.また,アナグリフ方式の実験では両眼のクロストークが生じる.特に,遠隔実験の場合には被験者ごとにディスプレイが異なるため,両眼立体視の個人差がディスプレイの個体差に由来する可能性がある.そこで,クロストークの生じない,スマートフォンを用いたサイドバイサイド方式の両眼立体視の実験環境を構築することを試みた.当初,スマートフォン(特に,iPhone)ではマウスやキーボードを使用できないため実験環境の対象としなかったが,OSのバージョンアップや外付けアダプターの接続により,比較的容易にマウスやキーボードからの応答を取得することが可能であることがわかり,これを採用した.
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べたように,コロナ渦により,実験を思うように実施できなかったその代わり,遠隔実験やサイドバイサイド方式の立体視実験のノウハウを蓄積している.実験系は整っているので実験を行い,データを増やす.当初想定していたような大規模データとすることは難しいかもしれないが,スマートフォンを使った両眼立体視実験がどこまで精密に行えるかといったことを中心に明らかにしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により実験が思うように進まなかったためである。学会発表または論文誌発表に使用する.
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