言語の歴史的変化を推定するには祖先を共有する他の言語との比較が強力な手段であるが、日本語の場合は近縁関係が明らかな他の言語が存在せず、この手法が適用できなかった。本研究では構造的特徴がどのように変化するかを確率的にモデル化した。この手法は、日本語がどのように変化してきたのか、また今後どのように変化していくのかを推定するのに役立つ。さらに、ほぼ同じ手法が方言群に適用できることを発見した。日本語の歴史を考える上では、上記の理由から、日本語内部の変異を明らかにすることが残された有効な手段の1つである。今後はこの点を追究していきたい。
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