研究課題/領域番号 |
18K18107
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
佐々木 博昭 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80756916)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 特徴抽出 / 独立成分分析 / 十分次元削減 / ニューラルネットワーク / カーネル法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,入力データに潜む非線形特徴抽出の理論と方法論を構築することである. 平成30年度は非線形特徴抽出の理論構築を重点的に取り組み,特に,独立成分分析と呼ばれる教師なし学習の枠組みに沿った研究を行なった.独立成分分析の目的は,複数の混合信号として観測されたデータからその混合前の信号(以下,源信号と呼ぶ.)を最小の事前知識で推定することであり,これまで教師なし特徴抽出法としても応用されてきた.しかし,これまでの多くの研究では,混合過程が線形であることが仮定されており,混合過程が非線形の場合,どういった条件下でどの程度,源信号を推定可能であるかについて理論的に十分な理解が得られていなかった.そこで,本研究では,非線形独立成分分析に関する理論的な研究を実行し,混合過程が非線形の場合において,源信号をどの程度推定できるのか,そして,推定可能な場合の十分条件を理論的に明らかにした.さらには,理論だけでなく,ニューラルネットワークを用いた非線形独立成分分析の手法も構築し,数値実験により動作確認を行なった. 上記に加えて,教師あり学習における低次元非線形特徴抽出法の研究も行なった.その低次元特徴抽出法は,カーネル法とニューラルネットワークを組み合わせた形式で構築され,条件付き確率密度関数の推定を通じて低次元特徴抽出が実行される.そして,その構築手法は,十分次元削減と呼ばれる教師あり次元削減の枠組みに沿った手法であることを理論的に確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の予定は非線形特徴抽出の理論構築であった.それに対して,非線形独立成分分析など理論的な研究成果が得られたため,おおむね順調に進展していると評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は独立成分分析と十分次元削減に関連した特徴抽出の理論と手法の構築を行なった.これら枠組み以外の特徴抽出の枠組みはいくつか存在する.今後は,他の枠組みも包括するような一般性の高い新たな枠組みを構築し,特徴抽出のさらなる理論的な発展を目指す.それと同時に,理論だけでなく,その新たな枠組みに沿った特徴抽出法の構築や既存手法の拡張も行い,数値実験により有用性を検証することを予定している.
|