研究課題/領域番号 |
18K18116
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤井 慶輔 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (70747401)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 集団運動 / 機械学習 / スポーツ科学 / 身体運動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヒト集団運動において社会的行動を可視化する技術を開発して実践的に利活用する基礎を作ることである。当該年度は、集団運動のダイナミクスを理解するため、ラベルに共通した/特有の動的特性を可視化する主に3つの技術を開発した。 データから時空間パターンを抽出することによって動的システムを理解することは、工学や科学のさまざまな分野で重要である。明示的な事前知識を必要とせずに、データから非線形動的システムの大域的なモード記述を得る方法として、動的モード分解と呼ばれる手法に着目した。 1つ目の研究では、動的モード分解にラベル情報を組み込む定式化を、複数タスク学習の枠組みで行う(Sparse-group Lassoと呼ばれる正則化を行った最適化問題を解く)ことで、ラベル情報を反映した動的モードを抽出する手法を開発した。本手法は合成データと身体運動データを用いて検証され、投稿原稿は国際学術雑誌において発表された。 2つ目の研究では、観測量間で構造を持つ非線形動的システムを対象に、ベクトル値再生核ヒルベルト空間で定義されたKoopman作用素のスペクトル解析を定式化し、その推定アルゴリズムを開発した。本手法は自転車シェアリングデータと群運動のシミュレーションデータを用いて検証され、現在国際学術雑誌において査読中である。 3つ目の研究では、冗長かつ支配方程式が不明なヒトの多関節運動に関して、非線形動的システムの観点から理解するために、作用素のスペクトル解析的な観点からデータ駆動的に合成作用素の固有値や固有関数を推定する方法を用いて検証する研究を行った。この研究も現在、国際学術雑誌において査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に計画した研究について、論文が発表されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、集団運動データに関して重要な、エージェント間の関係性の構造を利用した、ダイナミクス抽出を行う手法を開発し、より理解可能な可視化に関する検討も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は動作分析カメラを購入する予定であったが、同機器をレンタルすることで想定よりも安くデータを計測することができたため。 次年度に回した金額は、別の研究のデータ計測機器のために使用する予定である。
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