研究課題/領域番号 |
18K18120
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
片岡 駿 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (50737278)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 確率的画像処理 / 確率的グラフィカルモデル / 統計的機械学習理論 |
研究実績の概要 |
2018年度は「複数画像を用いた確率的画像処理法」および「機械学習結果を利用した確率的画像処理モデルのパラメータ推定法」の2点に関して研究を行った.本研究計画で目的としている画像の特性を考慮した空間構造推定モデルを確立するためには,統計的機械学習法に基づくデータ構造推定法の考え方を従来の確率的画像処理モデルに取り込む必要があり,2018年度ではこのモデル構築のための前段階としてこの2点に関する研究に取り組んだ.機械学習の方法を確率的画像処理の確率モデルに取り込む一つの方法としては機械学習の問題設定のように複数データの利用を仮定することである.「複数画像を用いた確率的画像処理法」に関する研究はこの考え方を離散的な確率変数を持つ確率的画像処理モデルに自然に適用したものであり,本研究により確率変数が離散的な確率的画像処理の問題においても複数画像を用いることで機械学習と似たような問題設定で良好な画像処理が行えることを確認した.また,「機械学習結果を利用した確率的画像処理モデルのパラメータ推定法」に関する研究は異なる方針で機械学習の方法を確率的画像処理モデルに取り込む方法を考えたものである.確率的画像処理法の視点から考えると,機械学習の目的は様々な画像に対応できるような確率モデルのパラメータを推定することである.そのため,本研究では機械学習で得られたパラメータを利用して画像処理を適用する画像自体に特化したパラメータの推定法を提案している.現在はこれらの研究成果を基に,本研究計画で目的としている空間構造推定モデルの確立へと研究を遂行している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画で当初目的としていた画像の特性を考慮した空間構造推定モデルの確立には残念ながら未だ至っていない.しかしながら,空間構造推定モデル確立の基となる部分については2018年度の研究で良好な結果が得られており,空間構造推定モデルの確立についてはあと一歩まで研究が進展していると考えられる.また,確立モデル構築後の画像推定法やパラメータ推定法に関してもいくつかの知見が得られており,これらの状況から2018年度においては本研究課題は概ね順調に進展していると判断することができる.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は2018年度に引き続き,画像の特性を考慮した空間構造推定モデルの確立に向けて研究を遂行していく予定である.また同時に具体的な画像処理アルゴリズムの開発にも取り組んでいく予定である.確率的画像処理モデルの確立と確率モデルからの具体的な画像処理アルゴリズムの定式化は密接に関係しており,確率モデルが複雑になるほどその確率モデルを用いた画像処理法も複雑になってしまう.そのため,2019年度では画像処理アルゴリズムが複雑にならないよう確率モデルの定式化に気を配りながら,具体的な画像処理モデルの確立および画像処理アルゴリズムの開発を並行して遂行していく予定である.
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