研究課題/領域番号 |
18K18123
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中田 雅也 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (00781072)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 進化計算 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
解評価に長時間を要する高計算コストな最適化問題を想定し、必要な解評価回数を削減するために、評価関数の代替となる最適化指標をもとに解を探索するサロゲート進化的最適化手法を構築した。特に、従来の方法論である、評価関数の近似モデル推定とは異なり、手法自体が解の特性を組み合わせ独自の最適化指標を生成する点が特色である。一方で、解構造などの単純かつ多岐に渡る解の特性群のみの組み合わせでは、最適化性能が十分に向上しない問題がある。このため、本年度は、解探索を促進しうる同特性の生成指針およびこれを用いた最適化指標の生成について検討した。 まず、1)探索推奨領域を用いた最適化指標の生成では、サポートベクトルマシンを用いて優良個体の存在領域推定を行うことで、未評価解に対する推定領域存在判定を行う解の特性算出器を構築した。そして、この特性とその他特性(親固体の評価値および親固体と未評価固体間のユークリッド距離)を最適化指標として組み合わせることで、単一最適化問題において良好な性能を導出する進化的生成手法を構築した。特に、計画していた50次元のベンチマーク問題では、比較手法に対し最大で4桁程度のオーダーが異なる優良解を導出した。次に、2)仮想評価空間を用いた最適化指標の生成では、より困難な多目的最適化問題を対象とした。優良個体の優劣関係を保ちながら、より簡易な(非線形性の弱い)仮想評価関数への写像関係を学習することで、未評価解の優劣マッピングを生成し、その位置座標を特性として算出する。ベンチマーク問題における結果では、他の解の特性と組み合わせずとも、比較手法と同等の性能を最大で3万回程度の評価回数を削減して実現できることを示した。これらの成果に加え、有用な最適化指標の生成効率を高めるために、構造学習に用いる学習分類子システムの単体性能の向上に関する理論および手法研究も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、問題に対する解変数依存性などの単純かつ多岐に渡る解の特性群のみの組み合わせでは、最適化性能が十分に向上しない課題が生じた。そこで、解探索を促進する解の特性を算出する特性抽出器を構築し、これを他の特性と組み合わせた最適化指標をモデルベースにすることで、組み合わせ数を削減する方針に至った。この結果、計画していた50次元のベンチマーク問題では、比較手法に対し最大で4桁程度のオーダーが異なる優良解を導出した。さらに、当初計画になかった、より難解な多目的最適化問題においても、有用な特性の導出に成功し、ベンチマーク問題のみならず実指向問題においても比較手法を上回る性能を導出するなどの成果を挙げている。これらは、本取組の目的である、評価関数以外の最適化指標に基づく解探索促進に合致するとともに、その有用性を示すものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、学習分類子システムを用いた構造学習を適用することで、最適化指標の生成効率を高めることで、最適化性能の更なる向上に取り組む。特に、比較手法に対し提案法の有効性が認められなかった問題に対し、探索状況に応じた最適化指標の細分化に取り組むことで、性能改善を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた計算機よりも、低性能計算機での性能評価実験が可能となり、計算機購入費を抑えられたため。次年度使用額を合わせ、特に成果発表による旅費に充てる。
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