二年目では、優良解の解構造に基づく最適化指標を用いた進化計算が最適化性能を顕著に改善する知見をもとに、1)解構造をより高精度に抽出する進化的ルール学習の開発、2)多目的最適化問題に対する提案法の拡張、3)大規模最適化問題に対する提案法の拡張を行った。これらの課題は、当初計画していた高計算コストな単一最適化問題に対する手法構築を超え、実問題に頻出する大規模高次元、目的数の複数化に対応する発展課題として位置づけられる。これらの課題に対する方法論として、評価済みの解評価データから、その解構造を学習することで、未評価解の優劣を判定する最適化指標を逐次的に生成する。そして、この最適化指標が導出する未評価解のスコアを最大化することで、解評価を用いずに最適化を進めることができる。1)では、ハイパーパラメータの自動調整技術による進化的ルール学習の高精度化を達成し、従来法が学習不能な法則発見問題(解構造抽出のベンチマーク問題)において、最適法則構造を抽出できることを示した。2)では、27個の4~8目的ベンチマーク問題のうち26個の問題ついて従来法の性能を上回ることを示した。特に、従来手法が必要な解評価回数を最大50%削減して同じ性能を導出できることを示した。3)については、大規模最適化問題で用いられ、通常の進化計算とは大きく異なる協調共進化法について、そのフレームワークに提案手法を実現する方法を明らかにした。また、15個の1000次元ベンチマーク問題のうち、11個の問題について協調共進化法を含む従来法の性能を上回ることを示した。最大で従来性能の8倍改善する性能を導出した問題もある。2)と3)の実験結果は、提案手法によって解評価を削減可能であることを意味し、数時間から数日といった解評価に長時間要する高計算コストな問題において有効であることを実証するものである。
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