研究課題/領域番号 |
18K18128
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
米倉 将吾 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任研究員 (60456192)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 予測性 / スパイキングニューロン / 自己組織化 |
研究実績の概要 |
多自由度身体系においては、多くの自由度の相互作用によりその振る舞いは高度に複雑になってしまう。多自由度身体の振る舞いを予測するモデルが容易に構築できるようになればモデル予測制御やモデルベースド強化学習などの強力な制御手法を利用できるようになるために、ロボットの運動制御・行動制御分野が飛躍的に発展する事が期待される。本研究では運動予測のモデル構築を劇的に簡単にする予測プリミティブの生成・構築方法の開発に取り組んでいる。 当初、physical reservoir computingなどの原理の応用により予測プリミティブ構築を検討していたが、研究の方向性を一部変更し、スパイキングニューロンが身体-環境ダイナミクスの自己組織化を誘発する事による予測性向上の可能性に新しく着目した。具体的には、本年度ではスパイキングニューロンによってエージェントの運動制御を行う事によって、周期運動の生成能力や安定化制御能力が飛躍的に向上する事を確認した。特に、筋骨格ロボット、ロボットアームを用いたオブジェクトの制御など、多くの異なる身体を持つシステム・異なるタスクであっても、発現する運動系列の予測性を高める事ができる事を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、スパイキングニューロンを用いて運動生成を行う事によって、身体性エージェントに発現する運動系列の時空間的な予測性を高める事ができる事を確認している。スパイキングニューロンの利用は当初計画していなかったものの、スパイクダイナミクスに起因した身体・環境ダイナミクスにおける自己組織的による予測性の向上という意味において当初予想していた「身体ダイナミクスによる自己組織的な次元圧縮を利用した予測プリミティブ」に関連しており、非常に有意義な研究成果を得る事が出来たと考えられる。次年度以降、胎児筋骨格シミュレーション等における予測モデル構築実験などに取り組む事で当初想定した以上の成果を得る事ができると期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降、実際にスパイキングニューロンを用いて任意運動を生成する複雑なシステムの予測モデルの構築に取り組み、さらに、予測を用いた最適制御を試み、研究を完結させる。具体的には研究室で金沢星慶(特任助教)らによって開発された胎児筋骨格シミュレター、ならびに、空気圧人工筋を用いた筋骨格系実機を利用する事を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度では、当初予定していなかった発見「身体エージェントにおけるスパイキングニューロンを用いて生成された運動系列の予測性向上」という新しい原理の検証を最も重要な研究課題ととらえ、一部計画を変更し、この原理検証にまず注力した。翌年度以降、複雑な系(空気圧人工筋による筋骨格系や胎児シミュレーター)でこの原理を応用的に利用するために助成金を使用する。このため、簡易的な筋骨格ロボットを構築しつつモデル予測制御を行うためのGPUワークステーションを導入を行い、今までに得られた原理の応用例の構築を行い、研究を完結するために助成金を利用する。、
|