研究課題/領域番号 |
18K18142
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
西村 崇宏 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 発達障害教育推進センター, 研究員 (70733591)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デジタル教科書・教材 / ユーザビリティ / タッチパネル / 人間工学 / ヒューマンインタフェース |
研究実績の概要 |
教育の情報化が推進される中,タッチパネルを搭載したデジタル教科書・教材の実利用環境における人間工学的知見の充実が求められている.タッチパネルのユーザビリティ評価研究はこれまでにも数多く行われてきており,デジタル教科書・教材のユーザインタフェース設計に応用できる知見も多い.しかし,基本的な操作方法の一つであり,教育用コンテンツでも頻繁に利用されるドラッグを対象とした研究は少なく,より一層の知見の充実が必要であると考えられる.こうした背景を受けて,本研究では,デジタル教科書・教材のユーザビリティ技術基盤の確立を目指し,ドラッグのユーザビリティ向上を目的としている. 本年度は,代表的なドラッグの操作対象であるスライダの操作性を評価した.具体的には,指先の動きに対するスライダサムの移動比率を変化させた実験を行い,操作性との関係を明らかにした.さらに,一連の操作に要する時間を2つの相に分けて分析を行った.具体的には,スライダサムをターゲット周辺まで大まかに移動させる手先の運動と,最後の位置合わせを行う運動のそれぞれに要する操作時間に分けて分析することで,手先の運動成分に基づいてユーザの操作特性を詳細に検討することができた.こうした知見は,スライダの設計において,ユーザが任意に移動比率を変更できる機能の有効性を示すとともに,移動比率の選択可能範囲やその分解能について,ユーザの操作特性に裏付けされた具体的な値を示すことができた点で意義のあるものだと考えられる. 本年度に得られた研究成果の一部は,学術雑誌での誌上発表や学会発表等を通じて普及に努めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,ドラッグの操作対象として一般的なスライダの操作性を評価し,操作しやすいスライダサムの移動比率を明らかにするとともに,操作時間を2相に分けて分析することで,運動成分に基づく操作特性の検討を行うことができた.こうした成果を学術論文としてまとめ,次年度以降に実施予定であるドラッグの運動成分の詳細な評価に繋がる知見を得たことから,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度に得られた知見や実験プロトコルを活用しつつ,ドラッグの運動成分を詳細に評価する予定である.また,学術論文や学会発表を通じた研究成果の普及についても準備を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,申請時に人件費・謝金として計上していた評価実験の参加者への謝金の支払が生じなかったためである.次年度使用額の使用計画については,申請時の使用計画に沿って,実験参加者への謝金として支出する予定である.
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