研究課題
2020年度は、DNAオリガミ構造を設計するためのソフトウェア開発を進め、これまで可能であった複数の設計図の読み込み、構造体の平行および回転移動、構造間の結合に加え、塩基配列の出力、構造のグループ化が可能になった。本ソフトウェアは、これまで開発・公開を行っていたDNAオリガミのデータベースとリンクしており、容易に利用可能である。この研究の成果は、2021年度の計測自動制御学会に投稿および発表する予定である。上記のソフトウェアに加え、DNAオリガミの粗視化分子動力学シミュレーションを行うウェブサーバーを新規に構築し、初心者でも容易に構造の安定性などを解析できる環境を整えた。粗視化分子動力学シミュレーションには、oxDNAと呼ばれる既存のパッケージを利用することで、信頼のおける精度で予測が行える上に、開発時間の大幅な短縮が可能となった。この成果は論文としてまとめ、Chem-Bio Informatics Journalに投稿し、採択が決定した。本研究で培ったノウハウを活用することで、様々なDNAオリガミ構造体を作製し、その機能を評価することに成功した。例えば、柔軟な七角形状の構造体を作製し、その柔軟さや結合関係を制御することで、複数のモードにプログラム可能であることを原子間力顕微鏡を用いて証明した。この成果はMicromachines誌に掲載され、表紙に選ばれた。また、脂質膜を貫通し穴を開けることが可能な、筒と面が結合したDNAオリガミ構造体を作製し、蛍光分子が透過することを蛍光顕微鏡を用いて証明した。この成果は、Chemical communications誌に掲載され、裏表紙に選ばれた。さらに、DNAオリガミの研究を広めるため教科書を執筆し、2021年5月に出版される予定である。
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Chem-Bio Informatics Journal
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Chemical Communications
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巻: - ページ: -
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https://ibuki-kawamata.org/