遺伝子発現を人為的に制御する技術の開発は、学術的にも産業的にも重要である。本研究では、近年技術発展が著しいゲノムへの点突然変異を利用して、原核生物の遺伝子発現をプラスミド非依存的に制御する新しい情報技術を開発した。最近、大腸菌などの原核生物では開始コドン付近のmRNA 2次構造と、遺伝子の翻訳効率が強く関連することが示された。そこで、開始コドン付近の2次構造変化を引き起こすことで、翻訳効率を正あるいは負に制御できる点突然変異をデザインするアルゴリズムを開発した。この点突然変異による遺伝子制御は、面倒なゲノム改変や、外来性の発現調節因子なしで内在性遺伝子を個別に制御できるというメリットがある。
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