研究課題/領域番号 |
18K18149
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
大上 雅史 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (50743209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バイオインフォマティクス / タンパク質間相互作用 / インタラクトーム / ミトコンドリアタンパク質 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアタンパク質の網羅的な理解は医薬・生物学の大きな課題となっている。特にミトコンドリアタンパク質が関与するタンパク質間相互作用 (PPI) については、創薬標的としての価値が高いもののほとんど調べられておらず、また情報も散在している状況である。 本研究課題においてミトコンドリアタンパク質の網羅的なPPI=インタラクトームを解明するための技術を開発することを目的とする。PPI予測技術MEGADOCKを活用し、網羅的にPPI予測を実施してデータベースを構築し、関連情報を統合化して公開する。さらにin vitro実験による未知PPIの発見を試み、これまで見過ごされていた多くの標的を世界に先駆けて調べることができる情報基盤として本研究のデータベースが利用可能であることを示す。 1年目となる今年度は、MEGADOCKを用いたミトコンドリアタンパク質の網羅的な予測を実施し、その結果をまとめたデータベースのプロトタイピングを実施した。HmtDBおよびMitoProteomeデータベースからミトコンドリアタンパク質の情報を抽出して対象のタンパク質リストを構築し、さらにリストとタンパク質構造データベースPDBを照合して立体構造情報を収集した。BLASTClustによるクラスタリングと冗長性除去ののち、立体構造が得られているタンパク質に対してMEGADOCKによるPPI予測計算を実施した。MitoProteomeの情報は遺伝子情報であり、1つの遺伝子に対して1種以上のタンパク質配列が翻訳されること、および1つのタンパク質配列に対して0個以上のタンパク質構造情報が存在することに注意し、データベースの関係を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたデータベース構築のプロトタイピングを完了した。引き続き、2年目の計画を当初計画の通り進める。
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今後の研究の推進方策 |
2年目はモデリング構造も含めたPPI予測計算を実施することで、より多くのミトコンドリアタンパク質を対象とした予測を展開する。また、dbSNPよりヒトゲノムの非同義置換SNP情報を収集し、注釈情報としてデータベースに加える。実験的に決定されたPPI情報はHINTおよびH-Inv DBから収集し、相互作用可能性の高い未知PPIについてのin vitro実験によるアッセイ検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象となるミトコンドリアタンパク質構造データの件数が当初予定よりも少なくなり、パブリッククラウドの従量課金やスーパーコンピューターの利用料金が当初予定より低料金となったため、次年度使用額が生じた。逆に次年度予定している構造モデリングを介した場合の構造データ件数は増える見込みであり、次年度使用額はそれらの計算のための計算機利用料として使用する予定である。
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