研究課題/領域番号 |
18K18153
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
前田 和勲 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 特任助教 (50631230)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | シミュレーション / 窒素代謝 / 大腸菌 / C言語 / 最適化 / 遺伝的アルゴリズム / システム生物学 / アンモニアトランスポーター |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヒト腸内細菌叢シミュレーターを開発し、腸内細菌代謝の理解に基づいた腸内細菌叢の制御を可能にすることである。2018年度は、シミュレーションモデル構築の基盤技術の開発と細菌の窒素代謝モデルを構築した。
動力学シミュレーションモデル構築には動力学パラメータ推定が必要である。動力学パラメータ推定は計算コストのかかる問題である。これを解決するために、我々は、遺伝的アルゴリズムのC言語ライブラリlibRCGAを開発した(https://github.com/kmaeda16/libRCGA)。そして、libRCGAが既存のライブラリよりも性能が良いことを示した(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ipsjtbio/11/0/11_31/_article/-char/ja)。
実験条件の異なる様々な実験データを統合してモデルを構築するために、制約付き最適化に基づくパラメータ推定法を開発した。そして、それを使うことで、大腸菌のアンモニア輸送-同化ネットワークの精密なシミュレーションモデルを構築した。そして、アンモニアトランスポーターAmtBが能動輸送体である可能性が高いことを示した。アンモニアトランスポーターが能動輸送体であれば、窒素の乏しい腸内環境ではアンモニア無益回路が生じるはずである。この研究では、この無益回路が低アンモニア環境で細胞のエネルギーの20%を消費することを示した(https://www.nature.com/articles/s41540-019-0091-6)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の目標は、基盤技術の開発と腸内細菌のダイナミックモデルだった。基盤技術としては、ソフトウェアlibRCGAと制約付き最適化に基づく新しいパラメータ推定手法を開発した。また、細菌の窒素代謝の精密なシミュレーションモデルも構築した。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は、代謝の合理的制御を実現するための解析手法の開発を行う。そして、それを大腸菌のアンモニア輸送-同化ネットワークに応用する。
|