本研究課題の達成は、正常発生過程の理解だけに止まらず、遺伝子異常による先天性奇形の理解にも繋がることが予想される。例えば、SHHシグナル経路の異常は全前脳胞症を引き起こす主要な原因の一つであることが明らかとなっている。これまで全前脳胞症の形態異常は正中組織の形成不全により起こっていることが想定されてきたが、申請者らの各階層動態の定量計測および解析により形態異常は応力検知能の異常による細胞集団運動方向の消失が原因であることが明らかとなった。このように方向性を持った細胞集団運動と形態異常がリンクすることはこれまで想定されていなかったため、治療法の開発等に関して新たな視点を提供できると考えられる。
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