研究課題/領域番号 |
18K18161
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
莊司 慶行 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30783039)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Location2Vec / 位置情報付き投稿 / 映画レビュー / アニメレビュー / 先見の明 |
研究実績の概要 |
1件の研究が社会情報学分野の有名国際会議の一つであるSocInfo2018にショートペーパーとして採択された。また、国内会議であるDEIM2019において、指導学生が本テーマに関する発表を3件行った。うち1件の発表は学生プレゼンテーション賞を受賞した。本年度は主にソーシャルネットワーキングサービスおよびレビューサイトからのデータ収集と、それを用いたクエリと表現のマッチング、エキスパートの発見について研究を行った。 SocInfo 2018に採択された「Location2Vec」の研究では、ある地物周辺で投稿された位置情報付きのコメントを集約的な意見として扱い、場所の用途や雰囲気に基づいて地域の類似度を計算したり、分析するための手法を提案した。 DEIM 2019で発表された「Doc2Vec手法による映画レビューサイトからのクエリと意味的に類似した評価表現の発見」の研究では、実際のオンライン映画レビューの大規模データを用い、「泣ける」などのクエリと「ハンカチ必須だった」等のレビュー表現をそれぞれベクトルで表し検索する手法を提案した。また、「放送開始直後に書かれたレビューに注目したアニメ視聴継続の早期判断支援」の研究では、オンラインアニメレビューサイトのデータを収集し、アニメの放送開始直後にそのアニメの将来価値を推定できる先見の明を持つレビュアについて特徴を分析した。ほかに「ソーシャルネットワーキングサービスにおける『不自然なフォロー行為』の分析」では、フォロー関係に注目することで、ソーシャルメディアサイトにおけるユーザの信頼性について分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主に【課題1】記述内容の信憑性、【課題2】投稿者個人の信憑性の2つの課題に取り組んだ。 【課題1】について、企業との協力により、実際に公開中のオンラインレビューサービスの実データを用いての開発・評価が可能になった。大規模データを用いて機械学習手法を用いたことで、想定より早く、既存手法より十分高い精度を持つアルゴリズムを開発することができた。また、クラウドソーシングを用いた大規模評価実験により、手法の優位性について定量的に示すことができた。 【課題2】について、映画レビューサイトやアニメレビューサイト等のデータの収集用のプログラムが複数完成し、集めたデータを実際に分析可能な環境が構築できた。本年度は「あるユーザが先見の明を持つか」などの限定的な分析にとどまったが、次年度以降、実際にどのような利用者の意見を尊重すべきかの研究に着手する準備が整った。 総合して、おおむね順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度以降は残された課題である【課題2】投稿者 個人の信憑性、および【課題3】集団・集計の信憑性について研究を行いつつ、得られた研究成果を国際会議発表の形で広く世界に公表する。 【課題2】について、主に2019年度に、多くのレビューサイトのデータを用いてどのような人物の意見を重視すべきかを、クラウドソーシングによるラベル付けを行いながら研究を進める。 【課題3】について、2019年度から2020年度にかけて重点的に研究を行う。主に映画レビューサイトの実データを用いて、映画雑誌等に掲載された専門家によるランキングをレビューサイトのデータから再現する複数のモデルを作成し、評価実験を繰り返して検証する。 また、2018年度の研究の成果を、SocInfo、ICWSMなどの社会情報学分野の国際会議や、CIKMなどのウェブ分野の国際会議へ投稿する予定である。
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