研究実績の概要 |
主に2つの研究に取り組んだ。1つ目は、昨年度に引き続き、膨大な量の仮想通貨の取引履歴解析を効率的に行うために分散学習を用いるための研究である。仮想通貨の取引履歴解析の分散学習のためにフェデレーションラーニング (FL: federated learning) を用い、学習協力者に仮想通貨によるインセンティブを配布するメカニズムを提案した。参加者が完全に利己的、すなわち自身の利得を最大化するような行動を選択するという仮定でインセンティブ・メカニズムをデザインしたが、実際の参加者は人間であるため、人間の心理に基いた行動を想定する必要があった。そこで行動経済学 (behavioral economics) を用いた参加者がより人間的な行動選択をする仮定におけるメカニズムの解析を行った。より具体的には、A TverskyおよびD KahnemanによるCPT (Cumulative Prospect Theory) として知られる利得算出法を用いてインセンティブ・メカニズムをデザインした。本成果はIEEE International Conference on Metaverse Computing, Networking, and Applications (MetaCom 2023) にて論文採録された。
2つ目は、昨年度に引き続き、Ethereumブロックチェーンの性能ボトルネックを改善する研究に取り組んだ。具体的には、KZG (Kate, Zaverucha, Goldberg) コミットメントスキームによるトランザクション検証時の演算量を低減する手法を提案した。本研究成果は学術論文誌IEEE Internet-of-Things Journalにて現在査読中である。
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