研究課題/領域番号 |
18K18164
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
根本 清貴 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80550152)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳画像解析 / e-ラーニング |
研究実績の概要 |
1. 学習コンテンツの開発として、「脳画像解析のためのコマンドライン」「FreeSurferによる構造画像の解析方法」を開発した。脳画像解析のためのコマンドラインでは、脳画像解析を行うために必要なコマンドラインの基礎知識を体系的に学べるようにしたとともに、実際に脳画像解析にどのように応用できるかを具体例をもとに解説した。FreeSurferによる構造画像の解析方法では、体系的な日本語リソースがない脳画像解析ソフトウェアであるFreeSurferの使い方について、ソフトウェアの概要から具体的な使用方法まで説明した。そして、脳画像解析のためのコマンドラインは、オンラインで公開した(https://github.com/kytk/shell-basic/tree/master/textbook)。 2. 統合画像解析システム「Lin4Neuro」の改良を行い、公開した(http://www.lin4neuro.net/lin4neuro/18.04bionic/)。近年発展が著しい機械学習、特に深層学習に関する解析環境も取り入れることができ、脳画像解析に機械学習を組み込むことが可能となった。今回開発したLin4Neuroは、先端ビオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)脳画像解析チュートリアルの教育プラットフォームとして採用された。 3. 脳画像解析のためのコマンドラインについては、学習コンテンツが実際にどの程度の有効性をもつかを評価するために、25名の受講者に対して8時間にわたる対面形式のライブセミナーを実施した。受講者にアンケートをとった結果、92-94%の高い満足度が得られる内容を提供できた。 4. 解析サポートとして、脳構造MRIの解析をサポートし、共著論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画をもとに、各年度における具体的な目標設定を行い、それを達成すべく行動した。この結果、当初の予定通り、以下を達成することができた。 1. 学習コンテンツの開発として、申請者が若手脳画像研究者にヒアリングを行ったところ、「脳画像解析を行う際に、コマンドラインを多用するが、よい成書がない」とのことでニーズを把握することができた。このニーズに対応すべくコンテンツを開発し、ライブセミナーを行ったうえで受講者の満足度を調査したところ、高い満足度を得ることができた。そしてこのコンテンツを一般公開することができた。また、近年欧米のHuman Brain Projectなどで用いられている脳画像解析ソフトのFreeSurferについて、日本語のリソースがほとんどないことから、体系的にスキルを身につけられるコンテンツを開発することができた。こちらのコンテンツは現在公開に向けて準備中である。 2. 統合画像解析システムの「Lin4Neuro」に関しては改良を行い、近年脚光を浴びている機械学習や深層学習をすぐに行うことのできる環境を導入した。これにより、深層学習をとりいれた脳画像解析を行うことができるようになった。改良したLin4Neuroは、先端ビオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)脳画像解析チュートリアルの教育プラットフォームとして採用された。改良したLin4Neuroを研究成果として公開した(http://www.lin4neuro.net/lin4neuro/18.04bionic/)。 3. 解析サポートとして、脳画像解析の経験がない研究者の脳画像研究をサポートした。この結果、ストレスと疲労のが脳容積に及ぼす影響を見出すことができた。本研究を通して学際連携を行うことが達成できており、現在も複数の研究者をサポートしている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 学習コンテンツの開発として、平成31年度は動画を用いたコンテンツを作成したいと考えている。これにより学習効果をさらにあげることができることが期待される。 2. Lin4Neuroの開発に関しては、現在、ドキュメントが十分に整備されていないため、ドキュメントの整備を行うことにより、ユーザビリティを向上させる。既に海外の大学院で教材として採用されているが、さらに国際的な知名度をあげるために、英語のドキュメントも整備させる。 3. eラーニングを使用するユーザーのニーズを適切に把握し、学習効率の高いコンテンツを継続して作成するために、平成31年度もライブセミナーを実施する。 4. 現在既に複数の研究者の脳画像解析をサポートしているが、継続してサポートを行い、解析結果の論文化を援助していく。 5. 平成31年度はオンラインサーベイシステムについて、どのような項目を調査することが教育効果の測定につながるのかを文献的調査を行うと同時にパイロット的に複数のサーベイを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を実施していく中で、当初複数のソフトウェアを購入予定であったが、調査の結果、オープンソース・ソフトウェアで代替できることが判明したため、購入しないこととなった。また、ライブセミナーの計画・実施を行う中で、ライブセミナーへの要望が非常に強いことが判明したため、本年度予定していた旅費、人件費の一部を、次年度、ライブセミナーを開催するために予算を振り分けることにした。このため、本年度に使用しなかった金額は、次年度のライブセミナー開催に使用する予定である。
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