研究課題
テスト理論における適応型テストは,テストの信頼性を向上する手法として,近年,ハイステークスなテストへの実用化が検討されつつある。しかし,適応型テストは,本格的な実用化に向けて次の課題が残る。(1)能力が同等な受検者には類似した項目群が出題される傾向が高いため,アイテムバンクの全ての項目を広く一様に活用できていない。さらに,特定の項目群の過度な露出は,受検者への項目内容の暴露につながり,テストの信頼性の低下要因となりうることが指摘されている。(2)同一の受検者が複数回受験した場合には,同一の項目群が出題される傾向があり,資格試験のような同一受験者が複数回受験してもよいという条件では実用できない。(3)受検者の解答のたびに何百という項目の中から受検者にとって最適な項目を即時に選択する必要がある。本研究では,整数計画問題を用いて項目の露出数を最小化し,能力が同等な受検者であっても,同一の測定精度を保ちつつ,異なる項目を適応的に出題できる等質適応型テストを提案した。本研究では,シミュレーションに基づくアイテムバンクと現実の大規模なアイテムバンクを用いて本手法の有効性を示した。本手法は,申請者が開発したeテスティングシステムに実装されている。本研究は,国内外の学会で発表され,Advances in Artificial Intelligence: Selected Papers from the Annual Conference of Japanese Society of Artificial Intelligenceに掲載されている。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Advances in Artificial Intelligence: Selected Papers from the Annual Conference of Japanese Society of Artificial Intelligence
巻: 1128 ページ: 105-113
10.1007/978-3-030-39878-1_10