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2018 年度 実施状況報告書

音楽理論に基づく自動編曲を用いた音楽電子透かし法の開発と定量的評価の検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K18174
研究機関中京大学

研究代表者

村田 晴美  中京大学, 工学部, 講師 (10707186)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード音楽電子透かし / 非負値行列因子分解 / 音楽理論
研究実績の概要

電子透かしに求められている「透かしを埋め込んだ後の音楽信号(ステゴ信号)が,音楽としての価値を損なわない」という要件に対して,従来の音楽電子透かし法とは異なる視点から透かしを埋め込む手法を目指している.元の音楽信号(ホスト信号)への聴覚上の近さを示す「音の品質」ではなく,「音楽的な品質」を損なわないように楽器音単位で信号を付加するために,音楽理論と非負値行列因子分解を用いた埋め込み法について検討している.
提案法は,非負値行列因子分解で得られたアクティベーション行列から発音区間を推定し,推定された音に対して1ビットの透かしを埋め込む手法である.提案手法に対して,電子情報通信学会の情報ハイディング及びその評価基準委員会(IHC委員会)で定められている音響電子透かしの評価基準に基づき,PQevalAudioによる客観的音質評価およびMP3圧縮などを含む攻撃に対する耐性評価実験をおこなった.実験の結果,客観的音質評価はすべての楽曲において評価基準を満たすことができ,MP3圧縮,MP3圧縮2回符号化,AAC変換,雑音付加の4種の攻撃に対して基準であるビットエラー率(BER)が10%未満を満たすことを確認した.しかし,DA-AD変換では攻撃によりアクティベーション値が大幅に変更されたことで透かしを正しく抽出することができず,基準を満たすことができなかった.
なお,上述の研究成果については,国際会議プロシーディング1件および国内学会発表1件を通じて一般に公開した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

非負値行列因子分解を用いてホスト信号に対して楽器音単位で信号を付加する手法に対して,MP3圧縮を含む攻撃に対する耐性評価実験をおこなった.従来手法では,発音区間の情報がなければ透かしを正しく抽出することはできなかった。これに対して,発音区間推定に混合正規分布を用いることで、発音区間の情報がない場合でも透かしを正しく抽出することができるようになった.しかし,耐性における評価指標の必須項目であるDA-AD変換に対しては耐性を有していないままである.DA-AD変換に対して耐性を有していない原因については確認できており,非負値行列因子分解によって得られるアクティベーション値がDA-AD変換前後で大幅に変更されていることが挙げられる.現状ではDA-AD変換のどの処理によって信号にどのような影響があるかについて検討できていない.今後は,DA-AD変換による影響を調査した後,DA-AD変換に対して耐性を有するための改善案を理論的に追及する必要がある.
以上の結果から,非負値行列因子分解を用いた埋め込み法の耐性評価実験はおおむね順調に進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

平成30年度の研究計画である実演奏音を対象とした非負値行列因子分解を用いた音楽電子透かし法の実装および有効性の評価において,DA-AD変換によって生じる信号の変化までは確認できている.今後は,DA-AD変換によって生じる信号の変化の要因について調査をおこなう予定である.調査の結果に基づき,DA-AD変換に対しても頑健な埋め込み手法の改善を検討する.その後,引き続き平成31年度以降の研究計画である編曲も可能な音楽電子透かし法の実装をおこなう予定である.

次年度使用額が生じた理由

主観的評価の調査をおこなうことを予定していたが,耐性評価においてDA-AD変換に対する性能低下により,IHC委員会が提示しているBERが10%未満という条件を満たすことができないことが判明した.そのため,研究補助者を伴う主観的評価を実施することが妥当でないと判断した.今後,耐性評価の基準を満たすことができた段階で主観的評価を実施する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] ウェーブレット分解を用いた振幅の増減に基づく音楽電子透かし2019

    • 著者名/発表者名
      丸山貴大,村田晴美,荻原昭夫
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] Note Estimation by Contaminated Normal Distribution for Audio Watermarking Method Using Non-negative Matrix Factorization2018

    • 著者名/発表者名
      H. Murata and A. Ogihara
    • 学会等名
      2018 International Symposium on Intelligent Signal Processing and Communication
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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