研究課題/領域番号 |
18K18199
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
江口 哲史 千葉大学, 予防医学センター, 助教 (70595826)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 残留性有機汚染物質 / 金属 / メタボロミクス / 腸内細菌 / 出生コホート / 鉛バッテリー |
研究実績の概要 |
本年度はまずベトナム鉛バッテリー汚染地域における尿中メタボローム組成を対照地域と比較し、鉛曝露を反映するバイオマーカーの探索及び曝露により変動する生体内パスウェイについて考察を試みた。機械学習モデルを用いた解析の結果、2群の判別に有用なバイオマーカーが既存のものも含めて複数得られ、それらのメタボロームは神経毒性、ヘム生合成、低分子化合物の輸送に関連するパスウェイと関係する因子であった。モデルの精度は汚染地域、対照地域の2値判別の場合にAUC = 0.917, 血中鉛濃度との相関解析の際にR^2 = 0.647と良好な結果であり、予測モデルとしても良好な結果を示した。これらの結果は国際誌であるEnvironmental Pollution誌に投稿、受理された。
また、千葉出生コホートをもちいた化学物質曝露と出生アウトカムの関係について解析を試みた。ここでは血清中ポリ塩化ビフェニル (PCBs)、カドミウム、水銀、セレン、マンガン濃度と出生体重・頭囲との関係を解析したところ、PCBs, マンガン濃度と出生アウトカムの間に負の関係が得られた。本結果は国際誌であるEnvironmental Pollution誌に投稿、受理された。
更に、上記の化学物質測定結果と血清中・便中メタボローム組成および、腸内細菌組成の関係について解析を試みた。複数のオミクスを組み合わせた解析を適用したところ、それぞれの化学物質濃度の低曝露・高曝露群をAUC > 0.7程度で判別可能なモデルが得られ、曝露を反映する因子を複数のオミクス解析から抽出できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標であるマルチオミクスの解析については目処がたち、解析を進める環境が整備された。また、関連する背景研究が受理されたことから概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度に得られた解析手法を適用し、より詳細に化学物質曝露と各種オミクスデータの関係について解析を進めていく。
また、現状では出生前に得られたデータを中心に解析を進めているが、出生後のデータと組み合わせた結果についても解析を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より安価に当該の商品について購入ができたため。来年度は物品費に加え、一部人件費に充てる予定である。
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