研究課題
本年度は出生コホート調査において対象とした児の出生体重と母体血清中における複数のポリ塩化ビフェニル (PCB) 異性体濃度の複合曝露影響について解析を試みた。209種類存在するPCBs異性体ごとの影響について、検出された12異性体についてWeighted Quantile Sum (WQS) Regressionを用いて解析した。WQS Regressionは複数の互いに相関する化学物質濃度を1つの曝露指標に次元圧縮し、アウトカムとの関係を解析するための手法である。これにより、複数の化学物質の曝露を単一の指標として取り扱うことができるため、多重共線性による影響を除去できる。更に、アウトカムへの各化学物質の重要度を算出できる点も優れている。解析の結果、児の出生体重とPCB濃度のWQS指標の間には有意な負の関係が認められた。一方で、各異性体の重要度を比較したところ、有意に影響の大きい異性体は認められず、出生体重とへの異性体特異的な影響は本研究では認められなかった。本研究において、異性体特異的な曝露影響は認められなかったが、将来的に測定対象の環境化学物質および、メタボロームなど、複数の化学物質の複合影響を解析する際に、本手法は有用であると考える。本研究結果は国際誌へ投稿準備中である。また、共同研究としてビスフェノールAを曝露したラットの仔肝臓中のリピドーム組成の変動に関する研究に関与した。これらの研究についでは、機械学習によるデータ解析および、化合物組成のアノテーションなどに関与した。本研究は国際誌に投稿、受理された。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Science of The Total Environment
巻: 759 ページ: 143466~143466
10.1016/j.scitotenv.2020.143466
https://www.researchgate.net/profile/Akifumi-Eguchi
https://scholar.google.com/citations?user=in2FlHwAAAAJ