本研究では日本の出生コホートおよび、ベトナム鉛バッテリー汚染地域より得た試料中の化学物質濃度およびメタボローム組成を測定し、化学物質の曝露がヒト健康に及ぼす影響について解析を試みた。 日本の出生コホートにおいては、ポリ塩化ビフェニルの曝露が子供の出生体重低下に関与している可能性が示唆されたが、血清・便試料中のメタボローム組成との間には明確な関係は認められなかった。 一方、鉛バッテリー汚染地域においては鉛曝露と尿中メタボロームの組成の間に関係が認められ、中枢神経毒性や腎毒性、ヘム生合成に関連するパスウェイの変動を通じて鉛がヒトの健康に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。
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