研究課題
2018年10月に研究代表者の所属機関が変更となり、当初予定していた前所属機関が保有する埼玉県の長期PM2.5試料の使用ができなくなった。現在の所属機関において、バイオマス燃焼が盛んな東南アジアのマレーシアで捕集された長期のPM2.5試料および一部バイオマス燃焼の発生源試料を保有、且つ使用可能な状況であるため、本研究プロジェクトにおいてマレーシア関連のPM2.5試料を活用する。2018年度は、バイオマスの燃焼特性(粒子生成)を把握するために、温度制御可能な燃焼チャンバーを用いて粒子生成実験を行った。泥炭土壌およびもみ殻を本実験に用い、2 ℃/minで室温から600℃まで試料温度を上げ、その間、走査モビリティ―パーティクルサイザーで粒子径別の個数・体積濃度分布を測定した。泥炭土壌は200 ℃付近で個数濃度が最も高くなり、20~40 nmの粒子が支配的であった。一方、もみ殻は240 ℃付近で個数濃度が最も高くなり、20~40 nmの粒子が支配的であり、泥炭土壌との粒子濃度ピークの温度の違いが認められた。体積濃度についても個数濃度の場合と同様に、泥炭土壌ともみ殻の違いが認められた。また、泥炭土壌ともみ殻、稲わらの熱重量分析、熱分解GC/MS分析を行い、これらのバイオマスの種類による性状の違いに関する知見を得た。その他、マレーシアの大気環境に影響を及ぼし得るインドネシアの泥炭火災(バイオマス燃焼の一種)のPM2.5発生源試料の水溶性イオン成分特性について解析し、その内容について国際誌への掲載が決定した。
3: やや遅れている
2018年10月に研究代表者の所属機関が変更となり、新しい所属機関における研究環境の整備に時間を要しており、本研究プロジェクトで使用を予定している一部の分析装置(特にGC/MS)の整備に遅れが生じているため。
・泥炭土壌、もみ殻、稲わらの昇温速度や酸素濃度等を変えた様々な条件下で燃焼実験を行い、粒子生成や化学性状への影響について解析する。・バイオマス燃焼由来の指標となり得る有機化合物の分析前処理を含む分析方法を確立し、PM2.5試料の化学分析を開始する。・もみ殻、稲わらを主な対象とした野焼きの野外フィールド観測/化学分析を行う。また、大阪でPM2.5の野外フィールド観測を開始する。
2018年10月1日付けで所属機関が変更になり、研究に一部遅れが生じたため。追加の次年度使用額分は、2018年度に使用を予定していたができなかったGC/MS装置の整備に充てる。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件)
Atmospheric Pollution Research
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi.org/10.1016/j.apr.2019.02.009
Chemosphere
巻: 219 ページ: 1~14
doi.org/10.1016/j.chemosphere.2018.11.195