研究課題/領域番号 |
18K18207
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
小崎 大輔 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 講師 (60802535)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水銀 / 土壌 / 抽出 / 分析化学 / リスク評価 / マレーシア |
研究実績の概要 |
本研究では、以下の3つの観点から研究の実施を予定している。 ①:可溶態水銀を高効率に抽出できる循環型土壌水銀抽出装置の開発②:①を用いた採掘土壌及び周辺の河川底泥中の水銀の溶出可能性評価③:ボーキサイト採掘地周辺の河川水などの水銀の測定を行い、採掘地周辺の水銀の環境動態を明らかにする。さらに、パハン大学及びパハン州都市計画局と連携し、水銀の分布及び溶出リスクマップを作成することで水銀の環境中への溶出リスクを明らかにする。最終的に、水銀汚染の低減・防止策に資するガイドラインの提案を目指す。 ①本研究において中核となる土壌中の水銀の循環型抽出装置の設計、組上げ及び最適化(抽出溶媒循環速度、土壌充填量、抽出溶媒濃度、抽出溶媒種類など)に関する実験が順調に進行しており、2019年6月22日-23日に広島県で行われる第25回中国四国支部分析化学若手セミナーにおいて発表が予定されている。 ②現地における調査としては、2018年9月に2週間のマレーシアでの現地調査が実施された。調査地域において約20か所のボーキサイト採掘地からの土壌採取を行い、水銀を含む重金属類の測定がおこなわれた。 現在は調査地及び採掘地周辺の河川における基礎的な水圏環境情報を纏めた論文の執筆を行っており、今年度は③に示す、ボーキサイト採掘地周辺の河川水などの水銀の測定についても実施する。加えて、以上の測定情報に基づき、土壌における水銀の分布及び溶出リスクマップを作成することで水銀の環境中への溶出リスクを明らかにする。最終的に、水銀汚染の低減・防止策に資するガイドラインの提案を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示すように、①:可溶態水銀を高効率に抽出できる循環型土壌水銀抽出装置の開発、②:①を用いた採掘土壌及び周辺の河川底泥中の水銀の溶出可能性評価、③:ボーキサイト採掘地周辺の河川水などの水銀の測定と、採掘地周辺の水銀の環境動態の解明については、順調に研究が進行している。
①に関しては、上述した2019年6月に広島県で行われる第25回中国四国支部分析化学若手セミナーにおいて、装置の設計及びその概要、抽出精度などに関する発表が予定されていることからも研究の進捗が見て取れる。 ②現地における調査としては、2018年9月にマレーシアでの現地調査が実施され、約20か所のボーキサイト採掘地からの土壌採取を行い、水銀を含む重金属類おおまかな分布の把握に成功しており、今年度は継続した分布状況の詳細な把握を実施し、リスクマップの詳細化を行う。 ③に関しては、調査地及び採掘地周辺の河川における基礎的な水圏環境情報を纏めた論文の執筆していることからも、最終年度に向けた水銀汚染の低減・防止策に資するガイドラインの提案へ着実に研究が進捗しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究に関する予定としては、2019年8月~9月にかけて、3名のスタッフでの2週間の現地調査を予定しており、2018年に調査を行ったボーキサイト採掘地での土壌試料の再採取に加え、新たな採掘地における訴状採取を実施し、リスクマップ作成に関する情報の拡充を行う。その際には、現在、開発及び調整を行っている、循環型水銀抽出装置を現地へ持ち込み、効率的な土壌試料からの水銀抽出を実施する。 また、周辺地域の河川水の調査を実施し、土壌からの水銀の溶出挙動に関する評価に関しても調査範囲を広げ、可能であれば、河川低泥の採取と低泥質中のボーキサイトに関連する土壌の存在確認による採掘土壌の流入の実証に関する情報の収集も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マレーシアにおける調査において、研究協力を得られることとなった現地大学であるUniversiti Malaysia Pahangにおいて、実験施設の一部を高知大学側の実験環境として無償利用が可能となり、それによる一部予定金額の翌年への繰越が生じた。 そのため、本年度の海外調査においては、日本から調査に参加する人員を増やし、モニタリングにおける調査範囲、測定試料数及び測定効率に関する拡充を図る予定である。
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