研究課題/領域番号 |
18K18207
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
小崎 大輔 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 講師 (60802535)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 土壌環境 / 水圏環境 / 水銀 / 土壌採掘 / ボーキサイト / 簡易分析 |
研究実績の概要 |
本年度は、2018年度に開発を行った循環型水銀抽出装置をマレーシアへ持ち込み、2019年8月~9月の約1か月間を利用して調査を行った。その際、広範なボーキサイト採掘地域の中でも、採取可能な計14地点の土壌採取を行い、現地での抽出実験及び水銀測定を実施した。その結果、良好な抽出結果が得られた。また、抽出溶液の測定は、水銀だけでなく、その他金属元素であるヒ素、亜鉛、カドミウム、鉛、銅、アルミニウムなども含めた測定を実施しており、今後、現地大学であるUniversiti Malaysia Pahangと協議の上、論文化などを予定している。
加えて、マレーシアにおける水銀分析を実施している地域の流域圏環境に関する一般的な水質調査に関しても実施しており、背景情報として、一般的な水圏環境汚染に関するデータ(無機陰イオン、無機陽イオン、pH、溶存酸素量、化学的酸素要求量など)を含む論文の発表を行った。
また、上述の研究と並行で検討を実施していた水銀の簡易分析技術の開発に成功し、2020年3月に特許出願を行った。本研究成果に関しては、現在、論文執筆中であり、本課題の最終年度である令和2年度中の公開を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
【研究実績の概要】に示すように、マレーシアのボーキサイト採掘地における土壌調査の進展に加え、当該地域の背景情報ではあるものの、その論文化が達成された。加えて、簡易水銀分析法の開発に成功し、特許出願に到達している。
これまで、我々の研究グループは、現地の共同研究機関であるUniversiti Malaysia Pahangの中央実験棟に設置された水銀分析装置をレンタルして測定しており、分析試料の多さに加え、再現性を把握するため、1検体につき3回の測定を要することから、高額の費用を要していたものの、本特許技術の開発により、原子吸光光度計に我々の開発した装置を設置することにより簡易水銀測定が可能になった。これにより、大幅な費用の削減に成功し、今後、本技術を用いたポータブル型水銀分析装置の開発への展開も容易に想定される。
以上の点から、本研究課題は、当初の計画以上に大きく進展したものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、2020年3月に出願を行った水銀の簡易分析法に関する論文化に加え、当該技術を利用したマレーシアにおける水銀関連分析地域の拡大である。本技術の導入により、水銀分析の高効率化と大幅な分析費用削減が可能である。
また、2018年よりマレーシア・パハン州におけるボーキサイト採掘が再開されたことから、再度、ボーキサイト塵による周辺環境への影響に加え、降雨に伴ったボーキサイト土壌の河川や湖沼への流出も生じており、より詳細な重金属に関する影響の把握が必要である。そのため、昨年度以降、水銀に加え他の重金属に関しても測定を並行して実施していることから、本年度も継続した調査の実施を予定している。
令和2度は、最終年度と言う事もあり、従来の調査に加え、上述の水銀に関する簡易分析法の内容を含んだ水銀分析に関する論文化を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として226,619円が生じた理由としては、年度末に予定されていた東京都(品川)においての研究打ち合わせ及び水銀廃液処理用として確保した金額であったものの、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)による影響から、大学の指示により一時的な研究の停止の必要性が生じたためである。
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