研究課題/領域番号 |
18K18208
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
王 斉 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 特任助教 (60811685)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ハロゲン化多環芳香族炭化水素類 / PAHs誘導体 / 標準合成 / XPAHsの分析方法 / 生物蓄積性 / 環境残留性 |
研究実績の概要 |
多環芳香族炭化水素類(PAHs)の一部は発がん性や変異原性があることから注目されているが、ハロゲン化PAHs(XPAHs)はPAHsに、塩素または臭素が置換した物質群であり、有害性や残留性が増加する場合があることが報告されている。XPAHsは環境中に遍在し、ヒトや動物へ曝露していることが報告された。しかし、これらの物質群は膨大な種類があり、標準物質が限られているため、環境中に存在している可能性が高い高リスクの異性体の毒性、生物蓄積性や環境残留性などに関する研究が展開できない。本研究では、環境中の高リスクと推定される異性体の標準試薬を合成し、海洋生物や底質などを調査対象としてこれらの汚染物質群の生物蓄積性や環境残留性などに関する研究を行う。 今年度は、どのような異性体を優先的に合成することを明らかにするため、高分解能の質量分析計を用い、環境中の未知XPAHsの定性分析法を開発した。この分析法により、研究室に保有している底質などの環境サンプルのスクリーニング分析を行い、高リスク因子になり得る候補物質をリストアップした。リストアップされた物質のうち、高塩素化のピレン(tri-,tetra-chloropyrene)を合成し、東京湾底質サンプルを分析してこれらの物質が海洋底質中に存在していることを明らかにした。また、XPAHsは生体内で代謝されることを考慮し、環境中の存在量が多い異性体であるchlorophenanthreneに対して、そのヒドロキシ誘導体の標準物質の合成を開始した。さらに、環境中のXPAHsヒドロキシ誘導体の分析方法開発についても検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環境中未知XPAHsのスクリーニング分析法を開発し、高リスク因子になり得る候補物質のリストアップを行った。また、標準試薬の合成が順調に進捗していることから、当初の予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
XPAHsとそのヒドロキシ誘導体を合成し、同時にこれらの物質の分析方法を開発する。また、魚を調査対象として、XPAHsとその誘導体の汚染実態を調査する。
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