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2019 年度 実施状況報告書

抗菌薬存在下で機能を発揮できるアンモニア酸化細菌に関する知見のライブラリ構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K18214
研究機関東京電機大学

研究代表者

筒井 裕文  東京電機大学, 理工学部, 助教 (70620649)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードアンモニア酸化細菌 / 抗菌薬 / 群集構造解析 / T-RFLP法 / 抗菌薬耐性機構
研究実績の概要

2019年度は,活性汚泥中のアンモニア酸化細菌(AOB)群に対して抗菌薬を添加した際の機能阻害の調査と,2018年度に実施したレボフロキサシン(LVFX)耐性AOBのLVFX耐性遺伝子の解析を実施した。
前者については,2018年度にT-RFLP法を用いた群集構造解析の最適化を実施したことから,都市下水処理場から採取した活性汚泥に抗菌薬を添加し,その阻害影響の有無をアンモニア酸化速度から確認した。動物用抗菌薬であるテトラサイクリンおよびアンピシリンを添加した中長期的な運転を実施したところ,アンモニア酸化の阻害が認められたものの,機能回復が認められなかったことから耐性菌を獲得することができなかった。
後者については,2018年度の検討で得られたLVFX耐性AOB株(Nitrosomonas sp. UY-1)の全ゲノム情報から,フルオロキノロン系抗菌薬の耐性と深く関係するとの報告のあるgyrA遺伝子と高い相同性を示す配列を発見し,近縁のNitrosomonas europaea/eutrophaのgyrA遺伝子配列と比較した。UY-1株のgyrA遺伝子配列のみにおいて,既知のフルオロキノロン耐性を有するEnterobacteriaceaeと共通するアミノ酸配列の変位が確認された。以上の結果から,硝化菌においても他のグラム陰性菌と同様に,gyrA遺伝子の変異によりフルオロキノロンに対する高い耐性を獲得する可能性が示された。さらに,2018年度に実施したUY-1株の動力学的特徴をCESE2019において発表し,CESE2019 BEST YOUNG SCIENTIST ORAL PRESENTATION AWARDを受賞した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

検討を開始した当初,RNAの抽出効率が安定しなかったため,実験条件の設定に時間を要した。また,研究代表者の研究機関の変更にともない研究環境を新しく構築する必要があったこともあり,研究計画よりも遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

2020年度は,2019年度で遅れが生じた分,実下水処理場から採取した活性汚泥に対する抗生物質の阻害影響を調査する実験を進める。そのために,幅広い抗菌薬について,実下水処理場より採取した活性汚泥内のAOBに対する阻害影響を幅広く調査するとともに,中長期的な抗菌薬存在下でのAOBの集積培養および単離に取り組み,抗生物質に対する感受性の違いの要因の解明に取り組む。以上の検討を進めることで,国内での学会発表に加えて,国際誌への論文投稿の準備を進める。

次年度使用額が生じた理由

ほぼ全額を使用することができたが,完全に消費することができず若干次年度使用額が生じた。誤差の範囲での次年度使用額であるため,次年度は計画通りに使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Ammonia oxidizing kinetics of fluoroquinolone-resistant ammonia oxidizing bacterial consortium2019

    • 著者名/発表者名
      Hirofumi TSUTSUI and Taro URASE
    • 学会等名
      The 2019 International Conference on the "Challenges in Environmental Science and Engineering"(CESE-2019)
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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