研究課題/領域番号 |
18K18216
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
宮崎 健輔 北見工業大学, 工学部, 准教授 (50636610)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生分解 / リサイクル / ポリスチレン / 環境材料 |
研究実績の概要 |
本研究は、生分解性に乏しい石油由来の汎用プラスチックに生分解性を付与し、従来の生分解性プラスチックで問題があったリサイクル性を改善した、「汎用プラスチックを用いたリサイクル性を持つ生分解性循環型材料の開発」である。これまでの研究では生分解を促進する炭化水素鎖を持つバインダーとポリスチレン(PS)とエステル結合をさせ、加水分解により継続的に生分解が可能となる材料の開発を目的として研究を行いPSと不飽和脂肪酸をグラフト重合し分離・精製後、ジオールをバインダーとしてグラフトした脂肪酸部分をエステル結合でつなぐことを目的とした材料作製を行った。令和元年度の研究では、グラフト化とエステル化を連続で行うことにより、より効率的に材料作製を行えることを見出した。作製した材料で生分解試験を行ったところ、高分子量化による生分解性の阻害は見られず、バインダーの存在により、より高い生分解性が見られた。一方で、作製した材料は力学的性質が低いことが分かったため、木質バイオマスと組み合わせる方法による使用が有効と考え、それらの使用に関して、引き続き作製した材料と同じくエステル結合を持つ生分解性プラスチックと木質バイオマスと組み合わせた複合材料について力学挙動および生分解性についての知見を得た。特に水熱処理した木質バイオマスとの複合材料化では生分解において水熱処理の際に生じた酸によりエステル結合の分解が促進されることを見出した。その結果を国際会議1件、国内学会3件発表した。リサイクル性に関する実験においては、加水分解にて原料PSの回収に成功した。グラフト部やジオールに関しては、プロセス時に分解されるため、回収が困難であったことにより、回収PSはグラフト化プロセスから再合成したところ、成功した。現在は、本手法の他のポリマーへの応用と水熱処理木質バイオマスとの組み合わせについて検討している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では本年度までに材料作製及び生分解性試験及びリサイクル性試験を行う予定であり、現状材料作製を行い、生分解試験及びリサイクル性試験を行っており、おおむね計画どおりに進んでいる。また、作製材料単体での力学的性質の脆弱さをカバーするために木質バイオマスとの複合材料化を目指し、それらに向けた実験も行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、本年度までの知見を他のポリマーへの応用と水熱処理木質バイオマスとの組み合わせについて検討する。加水分解-再合成を行いリサイクル性に関して、より詳細な検討を行い最適条件を見出す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた作製していた材料は力学的性質的に脆弱であり、木質バイオマスと複合材料化した材料として開発することが力学的性質において優れるため、これらの研究計画を変更・追加した。試験サンプル数が増えるため不足する生分解試験用インキュベーターなどを購入し、実験を進めていく予定である。このような予定変更のため使用額の変更が生じた。
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