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2021 年度 実績報告書

河川性魚類のダム湖の移動可能性と孤立個体群の存続に必要な生息域サイズの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K18226
研究機関国立研究開発法人土木研究所

研究代表者

末吉 正尚  国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(つくば中央研究所), 専門研究員 (70792927)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード分断化 / 生息地 / 淡水魚 / 人為影響 / 生態系管理
研究実績の概要

孤立した野生生物の個体群が維持されるためには、十分な個体数が確保できる生息域の大きさと、他の孤立個体群との遺伝的交流 が必要不可欠である。ダムによって形成されるダム湖は、流水性魚類の生息に不適な止水環境となるため、ダム湖に注ぐ支流間の交流を妨げる可能性がある。本研究では、木曽川中流域においてダム湖区間(木曽川本川)と流水区間(飛騨川)に注ぐ大小さまざまな支川の魚類調査を行い、①支川の長さと種数との関係性解析、②複数種を用いた遺伝的構造の比較をすることで、ダム湖による個体群の分断化および消失が生じているのかどうかを検証した。飛騨川と木曽川本川はともに約24-36kmの区間がダムによって挟まれているが、飛騨川はダム湖が小さく、木曽川は全区間がほぼダム湖となっている。それぞれの区間で調査した支川は、飛騨川が8支川、木曽川本川が11支川である。魚類調査は秋に行い、出現種を調べたのち、広く分布が確認されたカワヨシノボリ、カワムツの2種を対象にMIG-seq法を用いた遺伝子解析を行った。魚類定量調査の結果、全23種群が確認された。採捕した個体数に基づいて推定された種数と支川の流域面積との関係を検証したところダム湖のある木曽川はダム湖のない飛騨川よりも種数が少なく、特に支川が短いほどその差は大きかった。結果として、約2平方kmの支川で約3種も推定種数が減少した。遺伝的構造からは、両種ともに飛騨川よりも木曽川の支川間で遺伝集団が細かく割れる傾向がみられた。遺伝的多様性は木曽川のカワムツのみ、流域面積が小さいほど低下する傾向もみられ、飛騨川集団やカワヨシノボリは流域面積と遺伝的多様性に関係性はみられなかった。遺伝的な分化と種数の減少から、対象としたダム湖(ダム竣工から約90年)では、すでに魚類の局所個体群消失が生じており、かつ残存する個体群間の遺伝的交流も阻害されている可能性が示された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 河川性魚類はダム湖を移動できるのか?―遺伝的構造と種数面積関係による検証―2022

    • 著者名/発表者名
      末吉正尚, 中村圭吾
    • 学会等名
      第69回日本生態学会大会

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公開日: 2022-12-28  

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