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2021 年度 実績報告書

ボトムアップ効果を考慮したシカ個体数変動要因の解明-複数時間スケールでの評価

研究課題

研究課題/領域番号 18K18227
研究機関地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部)

研究代表者

幸田 良介  地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主任研究員 (60625953)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード窒素同位体比 / 妊娠率 / RKFI / 生息密度 / GIS / 捕獲圧 / 履歴効果
研究実績の概要

2021年度は昨年度新型コロナウィルスの影響で実施できなかった窒素同位体比分析を実施し、全ての分析を完了させた。また、3つのサブテーマの解析結果を統合し、トップダウン・ボトムアップの両面から、短期・中期・長期の時間スケールごとに必要な対策を取りまとめた。
短期スケールでは、農作物利用が個体の栄養状態や妊娠率に与える影響を評価した。シカの窒素同位体値を農作物利用度の指標として解析した結果から、農作物利用がシカの栄養状態を向上させ、短期的なシカ密度増加に影響していることが示唆された。中期スケールでは、地域的な5年間のシカ生息密度の変動を、捕獲圧の変化や景観構造から評価した。その結果、捕獲圧の強化は局所的にシカを減少させる一方で周辺地域への拡散を助長させる可能性があること、農地等の餌資源豊富な地域が分布拡大を誘発しうることが示唆された。長期スケールでは、シカ激増前の分布域と現在の生息密度分布の関係を、景観構造を含めて解析した。その結果、現在のシカ生息密度分布には現在の捕獲圧や景観構造はほとんど影響しておらず、過去の分布域を規定していた環境要因や、シカ増加時の餌資源量が重要であることが示唆された。
以上のことから、短中期的な対策では適切な捕獲と農地での被害防除の連携を進めつつ、長期的には生息環境管理を含めた総合的な対策を模索していくことが重要であると考えられた。本結果をもとに、個体数管理・被害防除・生息環境管理の3つの対策手法を連携させ、統合的な対策として社会実装を進めていくことが今後の課題である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 鳥獣被害問題の解決に向けてー目指すべきシカ生息密度と被害対策を探るー2022

    • 著者名/発表者名
      幸田良介
    • 雑誌名

      JATAFFジャーナル

      巻: 10(4) ページ: 11-17

  • [雑誌論文] 迫りくる獣害問題:大阪府における野生動物の生息状況と被害状況2021

    • 著者名/発表者名
      幸田良介
    • 雑誌名

      日本環境動物昆虫学会誌

      巻: 3 ページ: 137-142

    • DOI

      10.11257/jjeez.32.137

  • [雑誌論文] 大阪府における誘引餌に対するアライグマの行動の秋期から冬期における季節的・時間的変動2021

    • 著者名/発表者名
      石塚譲・幸田良介・松本崇
    • 雑誌名

      地域自然史と保全

      巻: 43 ページ: 45-52

    • 査読あり
  • [学会発表] シカ個体群変動要因の検討:複数時間スケールでの評価2022

    • 著者名/発表者名
      幸田良介・原口岳・石塚譲
    • 学会等名
      第69回日本生態学会大会
  • [学会発表] クビアカツヤカミキリの分布拡大:生態学的知見の対策への反映に向けた取り組み2022

    • 著者名/発表者名
      原口岳・幸田良介・石井亘・相子伸之・山本優一
    • 学会等名
      第69回日本生態学会大会
  • [学会発表] 動物死体における甲虫相および微生物叢の遷移パターンはウジを排除すると変わるのか?2022

    • 著者名/発表者名
      橋詰茜・松島義治・山中康如・幸田良介・笠原康裕・大館智志・中島啓裕
    • 学会等名
      第69回日本生態学会大会
  • [学会発表] 和歌山県沖ノ島および周辺域における外来交雑シカ属による遺伝子撹乱状況2021

    • 著者名/発表者名
      幸田良介・山本義彦
    • 学会等名
      日本哺乳類学会2021年度大会

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公開日: 2022-12-28  

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