研究課題/領域番号 |
18K18242
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宗野 ふもと 筑波大学, 人文社会系, 特任研究員 (30780522)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バザール活性化 / 乳製品売買 / 女性 / 貧困対処 |
研究実績の概要 |
平成30年度までに収集した調査地域のバザールの基本情報を踏まえ、令和元年度は5月、9月、2月にフィールドワークを実施し、バザールで乳製品を扱う商人を対象とした聞き取り調査及び商売の参与観察を行った。 なお、研究実施当初は家畜売買及び家畜を扱う商人を対象とする予定だったが、調査助手を確保できず、女性である申請者が、男性が大多数を占める家畜売買の現場で調査をすることが困難になったため、調査の対象をヨーグルト、生クリーム、チーズなどを扱う乳製品売買に変更した。 乳製品商人への聞き取りからは、1990年代後半バザールで乳製品売買が活性化したことが明らかになった。聞き取り調査を実施したバザールでは、乳製品商人はすべて女性だった。彼女たちの半数以上は、乳製品売買で得る収入は日々の食糧を賄うほどで少額だと考える一方、この商売は家計の主たる収入源であるという認識を持っている。バザールにおける乳製品売買は、経済的に豊かではない女性たちの現金獲得活動だと考えられる。 バザールでの乳製品売買だけでなく、乳製品工場での観察と聞き取り調査も実施した。この調査から、近年工場における乳製品生産が盛んになっていること、工場は周辺村落部の各世帯から毎朝生乳を買い取り材料を確保していることが明らかになった。ここから、バザールにおける乳製品売買と工場での乳製品生産が競合関係にある可能性が見えてきた。 乳製品売買を対象とした調査を行うことで、ソ連解体後のバザールの活性化プロセスに女性がいかに関わったのかを明らかにできること、当初計画していたバザールにおける商実践の特徴も明らかにできると考えられるので、引き続き乳製品売買を対象とした調査を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は3回のフィールドワークを実施し、現地の人との信頼関係の構築と情報収集を十分に行えたためである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、可能であれば2回程度のフィールドワークを行い、乳製品売買の参与観察を進める。調査で得られた情報をまとめ、積極的に研究会で発表し、論文の内容の道筋を立てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入を行わなかったこと、旅費が予定額よりも少額だったためである。 今年度は可能であれば2回程度のフィールドワークを行うこと、英文による研究成果発表の準備を行うので、旅費及び英文校正費を計上予定である。
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