本年度は、昨年度から取り組んでいた英語論文の刊行と、サマルカンド市において現地調査を実施することができた。
研究成果について、ソ連時代とウズベキスタン独立後の手工芸生産の連続性を考察した英語論文を、ウズベキスタンの世界経済外交大学が刊行する国際学術雑誌に発表した。また、論文の一部を、世界経済外交大学と筑波大学が共同開催した国際会議"Sustainable Development in Central Asia"において発表した。 本論文を通して、独立後の市場経済の進展により雇用が不安定化する中で、バザールは人々に現金収入獲得の機会を提供していることが明らかになった。その一方で、再イスラーム化により、老若男女が行き交うバザールでの商売は、男女の別を重視するイスラームに沿わないという考えがインタビューをした女性の間であることも見えてきた。
調査について、サマルカンド市内に点在するバザールを訪ね、バザールの種類と場所をGPSで記録した。これらを通して、現在のサマルカンドにはロシア帝政期(19世紀後半)以降やソ連解体後(1991年)に建設されたバザールがあることが明らかになった。また、近年の都市整備事業により、かつては大きな屋根の下に作られた区画(台)で商売をする半屋外形式から、ショッピングモールなどに店舗が集まる屋内形式のバザールが出現していること、市街地の外れには特定の品物を扱うバザールが建設されていることも明らかになった。
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