研究課題/領域番号 |
18K18249
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安岡 かがり (四方篝) 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特定研究員 (80750421)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アフリカ / 熱帯雨林 / 焼畑 / アグロフォレストリー / 非木材林産物(NTFPs) / 生物文化多様性保全 / バナナ / カカオ |
研究実績の概要 |
令和3年度は、令和2年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、カメルーンでの現地調査をすることができなかったため、これまでに収集したデータの整理・分析ならびに文献研究と論文執筆をすすめた。また、カメルーン共和国・東部州の対象村落・都市において継続中の非木材林産物(NTFPs)や農産物の利用・流通にかんする調査、食事記録の進行状況を現地アシスタントとオンラインをとおして確認し、データの記録・収集と分析・報告(日本アフリカ学会、日本熱帯生態学会、日本熱帯農業学会)を継続した。
カメルーン東南部では、油脂調味料として利用されるナッツ類、香辛料として利用される果実類などを中心に、10種類以上のNTFPsが商品として流通・利用されている。NTFPs流通の状況はダイナミックに変化しており、これらの背景には主要な種の生産量の豊凶や、村落から都市部の広範にわたる商人のネットワーク、消費地における需要といった、多様な要因が複雑に関係していることが示唆された。 また、対象村落・都市で実施した食事調査の結果、村では調味料としてのNTFPs利用は限定的であるのに対し、都市では多様なNTFPs品目を調味料として利用していることが明らかになった。すなわち、これらのNTFPsは農村部で生産・採集されるものの、そのほとんどは販売に特化しており、調味料としてのNTFPsの市場は生産村ではなく都市部や他地域にあることが示唆された。これらNTFPsには焼畑やカカオ・アグロフォレストリー、焼畑休閑林などの人為植生域で採集されるものが少なくない。今後はNTFPsの市場拡大が、生産地域における人びとの生計や焼畑を含む森林利用にどのように影響を及ぼしていくのか注目しながら調査を継続するとともに、森林由来の調味料と生産地域外の食文化との相互関係や生物文化多様性保全の現代的展開について考察を深めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大のため、予定していた現地調査を実施することができず、研究計画に変更が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては、今年度の現地調査の実施もできない可能性がある。昨年度に引き続き、オンラインで現地の調査アシスタントとやりとりを継続しながら、データ収集、整理・分析を実施し、学会での発表と投稿論文の執筆をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため、予定していた現地調査を実施することができなかったため。
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