最終年度は、これまでに収集したデータの整理・分析をすすめ、カメルーン東南部の森林資源利用の現代的展開に着目し、非木材林産物(NTFPs)流通の実態ならびに農村部・都市部におけるNTFPs利用の実態について国際会議で2件の発表をするとともに、1本の論文を発表した。また、カメルーン東南部における森林資源利用の有効利用をテーマとした論文集の編集・出版をおこなった。 論文では、カメルーン東南部の主要都市ヨカドゥマにおけるNTFP取引の実態について、52か月に及ぶNTFPs市場調査で得られたデータを分析した結果、現在、対象地域では10種以上のNTFPが取引されていることが明らかになった。これらの種は、一年を通して取引され価格も比較的安定しているグループⅠ(Ricinodendron heudelotii、Aframomum spp.Piper guineense)、限られた季節に取引され価格が変動するグループⅡ(Irvingia gabonensis、Afrostyrax lepidophyllus)、グループ II の不作年に取引されるグループⅢ(Monodora myristica、Pentaclethra macrophylla、Scorodophloeus zenkeri)の3つに大別される。グループⅠとⅡに含まれる6種が重要であるが、リスク管理の観点からは、地元の人々が単一の特定のNTFP種に特化するのではなく、複数のNTFP種を取り扱うことが重要であることを指摘した。 研究期間中、コロナ禍で渡航・調査ができない期間が長かったので、当初の予定を変更し、リモートで現地スタッフの協力を得ながらデータ収集を継続することとなったが、結果的には現地スタッフとの共同調査方法が確立され、長期間に渡るデータ収集をおこなうことが可能となり、研究上も上記のような新たな発見を得ることができた。
|